時代に合わせて変化してきた軽自動車、今後の展望は

軽自動車は敗戦直後で日々を生きるのも大変な状況のなか、できるだけ安価な移動手段が欲しいという国民の声に応えて、1949年に生まれた規格だ。当時は欧州などで普及している超小型モビリティに近いカテゴリーだった。

ところがその後、高速道路が日本でも開通すると、軽自動車も当然のように高速道路を走りはじめた。つまり超小型モビリティとは異なる規格としての歩みを始めた。

一方で1970年代以降は、排出ガス規制や安全対策への対応を迫られることになり、その過程でボディサイズやエンジンの拡大が許された。この結果、1970年代当時には全長3メートル、全幅1.3メートル、排気量360cc以下だった規格は、現在はそれぞれ3.4メートル、1.48メートル、660ccまで拡大され、エンジンについてはターボ付きも用意されている。

おかげで今の軽自動車は、時速100キロ巡航であれば苦もなくできる性能は持ち合わせている。しかし、その過程で最高出力が50年前の約2倍になっていることは、一部の人にとっては不公平税制と映っているかもしれない。

こうした声が2015年の税金の引き上げにつながったのだが、一部の高速道路における制限速度の引き上げに合わせて、税制改定なしでボディサイズや排気量の拡大要望が受け入れられる可能性は低そうだ。それよりも、政府が考えている自動車税の抜本的見直しのほうが筋は通っているように思える。個人的には超小型モビリティに近いクラスと、登録車のコンパクトカーに近いクラスの2段階にするのが、理にかなっているのではないかと思っている。

このように、今後の軽自動車に対する風向きは決して好ましいとは言えない。しかし筆者は、軽自動車が不要とは考えてはいない。

海外展開で活用可能な“軽”の製品と技術

たとえばインドでは、スズキが数世代前の「アルト」を現地生産しており、ベストセラーカーになっている。一方のダイハツは、今年発表した登録車のブーンやトールに軽自動車作りのノウハウを活用しているし、2017年1月にはトヨタとともに新興国小型車カンパニーを設立し、ダイハツのものづくりをベースとした小型車を新興国に投入していくと発表してもいる。

2016年12月に国内累計販売台数500万台を達成したスズキ「アルト」。インドでもベストセラーカーになっている(画像はスズキより)

ただし、いくつかの新興国では経済成長に伴い、上級車種に目を向けるユーザーが増えているという流れもある。たとえば印マルチ・スズキの昨年の販売実績によると、アルトが属するセグメントは減少しているのに対して、それ以上のクラスは順当に伸び、「スイフト」や「バレーノ」が属するセグメントがもっとも多く売れているそうだ。

軽自動車の今後はどうなるか。それは新興国の自動車需要がどう変わっていくかにかかっているような気がする。