都市部と地方で異なる軽自動車の普及率

地方へ行けば、軽自動車は1人1台という感覚で買われ、使われているが、人が減れば当然クルマの数は減るわけだし、そもそも大都市では軽自動車の比率が低い。

全軽自協のデータには、都道府県別保有シェアという項目もある。2016年3月現在の数字を見ると、沖縄県や高知県ではシェアが55%以上に達しているのに対し、東京都と神奈川県では逆に20%台に留まっているなど、大都市と地方で普及率に大差がある。

東京は公共交通が発達しているし、駐車場代が高いので、1人1台という状況は難しい。長距離移動を含め、あらゆる用途に使える車種を選ぶことになり、結果として軽自動車を選ぶ人が少なくなるのではないかと分析している。

また政府では、現在排気量に応じて課税している自動車税を見直す考えで、燃費・環境性能を考慮した課税が有力視されている。これが実現すれば、現在は登録車に比べて税率が格段に低い軽自動車が増税になるかもしれない。

高速道路の制限速度引き上げで小型車が有利に?

もうひとつ、高速道路の制限速度引き上げも関係するのではないかと思っている。警察庁が発表した、現在は時速100キロの制限速度を段階的に同120キロに引き上げるという方針だ。すでに2016年10月から、東北自動車道と新東名高速道路のいずれも一部で、試験的に110キロへの引き上げを実施している。

この引き上げには軽自動車も含まれるが、筆者の経験では、時速120キロで長時間を楽に走り続ける余裕を持つ軽自動車は限られている。その点を考慮して、120キロまで楽に出せる小型車に乗り換える人が出てくるのではないかと考えている。

それを見越してか2015年以降、軽自動車の2大ブランドであるスズキとダイハツでは、登録車の新型車やモデルチェンジが目立つ。具体的にいうと、スズキは「SX4Sクロス」、「エスクード」、「イグニス」、「バレーノ」と実に4車種をリリースしており、ダイハツはトヨタにOEM供給も行う「ブーン」、「トール」を送り出している。

ダイハツ「トール」はスズキ「ソリオ」とシェア争いを繰り広げるトールワゴン。ダイハツからOEM供給を受けるトヨタは、「タンク/ルーミー」の車名で同車を販売している