今までにないネットワーク体験をDSM6.1で

引き続きアスクの児島氏が、新製品と新サービスの詳細を2部構成で説明した。Chen氏がNASの再定義と発言していたので、この順に紹介していた。

アスク FAEの児島雅之氏

ネットワーク製品として、家庭(とSOHO/スモールビジネス)をターゲットにしたルータ「RT2600ac」の投入を予告。Synologyは昨年(2015年)にルータ製品「RT1900ac」をリリースしたが、これは日本未発売だった。新製品の「RT2600ac」が、国内投入の初製品となる(価格と発売時期は現在調整中)。

RT2600acの大きな特徴は、Qualcomm製の1.7Ghz Dual-core CPUを採用し、MU-MIMOとL7アクセラレーターを搭載しているところ。前者は最大3台の端末に同時に通信することでスループットを上げる機能で、最近の高性能無線ルータはほぼ搭載している(PCやスマートフォンなどの子機側もMU-MIMO対応の必要がある)。

L7アクセラレーターがRT2600acの目玉機能となり、ネットワーク通信をもとにアプリケーションを判断して、それに応じた帯域制御が端末単位で行えるようになる。また、コンテンツの種類と時間帯に応じた制限を行う、ペアレンタルコントロール機能も装備だ。

RT2600ac。最大の特徴はQualcomm社のDualCore CPUを使うことでL7アクセラレーションが可能

従来のSU-MIMOとMU-MIMOの違い。同時に複数の端末と通信を行う

NAS製品のSDMと似たUIを持つSRMを搭載。Package Centerもあり、機能追加が可能だ

さらに、安全性を高めるVPNplus機能が用意される。いわゆるVPN機能に、WebVPNとSSLVPNを加えたものだ。WebVPNは、Webからのログインで安全性を高める通信を、クライアント側の追加ソフトなしで実現する。SSLVPNは、従来と比べて1.5倍~2倍高速で、L7監視も可能な技術だ。

こうした機能の設定は「SRM:Synology Router Manager」で行い、これはNASで利用しているSDMのルータ版と思えばよいだろう。ちなみに、ルータ本体のUSBポートやSDカードスロットにストレージを追加し、アプリケーションを追加すれば簡易NASとして利用できる。

VPNに利便性と安全性、速度を追加するVPN Plusが利用できる

WebVPNはブラウザベースのエージェントレスVPNでスマホなどからでも利用可能

SSL VPNは従来のVPNよりも高速で、L7トラフィック制御が可能だ

SRMの画面。2つのWAN入力でフェイルオーバーとバランシングが可能だが、家庭用では不要な機能。SOHOやスモールビジネスも想定しているのだろう

NAS用アプリケーションに関しては、チームコラボレーションということで、従来のMailPlusとスプレッドシートに加えて、ドキュメント、チャット、カレンダーを加えたスイート製品としてリリース。特にチャットアプリケーションにおいては、一般サービスを使ううえでの危険性がないのでよいだろう(社外秘の話が設定ミスで外部に漏れてしまったなど)。

家庭での利用を考えると、カレンダーが個人用と共有用に分けられており、さらにCalDAV/Googleカレンダーとの連携が可能。家族のスケジュール管理に使えそうだ。

NASというプライベートクラウド環境でコラボレーションを促進するツールが拡張され、スイート製品として登場

プライベートクラウド上のチャットなので、公共に漏れる心配はなく、わかりやすいショートメッセージのやり取りができる

オフィス機能として従来スプレッドシートがあったが、これにドキュメントが追加された

メール機能も昨年のSDM6.0での追加機能。個人でもメールの一元管理が可能なのはよいかもしれない

クラウド対応のカレンダー。CalDAV/Googleカレンダーとの連携も行える