――最近は『バイキング』(フジテレビ系)のMCをはじめ、バラエティ番組で大活躍されていますが、俳優の仕事とは全然違う意識ですよね?

「芝居からバラエティ行って大変じゃないですか?」ってよく聞かれますが、どちらも役回りがありますから。台本があるお芝居と、台本はないけれどちゃんと役があるバラエティと、そう考えると僕の中で違和感がないんです。バラエティはアドリブ芝居で、アドリブの怖さとおもしろさがある。俳優の仕事は台本がきっちりしていて、そこでつくりこんでいく大変さがある、という違いでしょうか。

――演じているという点は一緒なんですね?

演じているというか、お芝居の方も長くやればやるほど素の方がいいんだと思うようになってきました。役作りって言いますが、映っているのは僕ですから、僕が別の人になったって意味ないわけで、その役に僕の素の部分を落とし込んでいったほうが無理はないんですよね。バラエティもアドリブなわけで、それなのに自分が決めたことしか言わなかったらアドリブのおもしろさは出ないし、両方とも素に近いと思います。

――「どちらも素に近い」というのは意外でした。バラエティとドラマだとどちらが楽しいとかありますか?

ドラマはたまに出ると照れますね。照れるというか、監督の「よーい、スタート!」っていう声を聞くと、久しぶりって思っている自分もいます(笑)。僕の中ではあまり分けて考えていないんですけど、今は生放送がいいですかね。時間が来たら終わるし、一発勝負みたいな緊張感もギャンブルみたいで好きですね。変なこと言ったら終わっちゃいますから、その恐怖はいつもあります。生放送でも僕は熱くなるときがあるので、CMに入って冷静になったときに、変なこと言ってなかったなって焦るときもあります。

――今後のキャリアはどう考えていますか?

60歳引退説というのは考えてますね。(大橋)巨泉さん風に言うならセミリタイア。60歳以降は、『坂上忍のしー散歩』だけに…高田純次さんに譲っていただいて『じゅん散歩』(テレビ朝日系)のあと『しー散歩』(笑)。散歩して飯を食っていく…それくらいのんびりしたいですね。今は最後の働き盛りだと思っているので、還暦くらいまでなんとなく頑張るつもりです。

――今回、ハリウッドアニメの声優に初挑戦されましたが、次に初挑戦してみたいことは?

来年は夏休みをとりたい! 今年とれていないので。

――何かやりたいことがあるんですか?

やりたいことがあるとかではなくて、『直撃LIVE グッディ!』の安藤優子さんと別の番組でご一緒させていただいたときに「休みとりますか?」って聞いたら、「とりますよ。とらないんですか?」って。帯番組やっている人はたぶん葛藤があると思うんです。本当に休んでいいんだろうかって。そうやって葛藤しながら、ちゃんと休みをとる人と、とらずにやり続ける人がいるみたいで…僕は来年は死んでも休みます!

■プロフィール
坂上忍
1967年6月1日生まれ。東京都出身。3歳で劇団若草に所属し、1972年の『下町かあさん』(フジテレビ系)でドラマデビュー。数々のドラマや映画に出演し、"天才子役"として一斉を風靡した。現在は、フジテレビ系『バイキング』をはじめとするバラエティ番組でも活躍。また、子役タレント養成所「アヴァンセ」を立ち上げ、指導も行っている。