『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)や『その節約はキケンです――お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか』(祥伝社)の著者でファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんによると、貯蓄・節約につながる"手抜き"があるそうだ。「ふるさと納税セミナー」(マネーフォワードとトラストバンクの共催)で風呂内さんが語った、「トクする家計簿の基本」を紹介しよう。

ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん

「先取り貯金」など仕組み化して手抜き

貯蓄の第一歩として風呂内さんが勧めるのは、仕組みをつくること。「貯蓄が上手な人は、収入からまず貯蓄分をよけて残った分で生活をしています。いわゆる『先取り貯金』と呼ばれる貯蓄方法です。先によけるという仕組みをつくってしまえばあとは自動的に貯まるというものですね」。

「先取り貯金」など自動的に貯まる仕組みづくりを

そのほか、家計簿の自動化、貯蓄専用口座の開設、各種電子決済の利用など、「一回一回、自分のがんばりでやっていくのではなくて、いつも通りの生活をしていたら自動的に貯まるような仕組みをつくる」ことが大切なのだという。

では、給料のどれくらいの割合を貯蓄するのがいいのだろうか。

「すごく有名なのは、月に入ってくる手取りの1/4(25%)を貯蓄するというものです。これは日比谷公園などを設計した本多静六さんが1/4貯金をして財をなしたというところからきています。でも実際これをやろうと思うと、けっこう大変ですよね。総務省の家計調査などを見ると、各家庭の貯蓄率は独身か共働きか子供かでものすごく違います。

人生には3回"貯め期"があるといわれています。1回目は独身か共働きの時期、2回目はまだ子どもが小さい時期、3回目は子供が大学を卒業してから自分が定年退職するまでの時期。最近は結婚が遅いので3回目の貯め期がない方もいます。この"貯め期"には20~25%ぐらいの貯蓄を目指せると思います。30%くらい貯金したり、共働きで片方の収入はすべて貯蓄にまわしたりするストイックな方もいます。

逆に子どもが中学生や高校生、大学生の頃は家計が本当にきびしいので、だいたい手取りの金額の5%~10%くらいを貯蓄するという人が多いです。最低限、減っていなければよしとしようという時期も必要ですね。いつも20%以上を貯蓄できれば理想かもしれないですけど、人生においてはどうしても貯めにくい時期があります。貯めにくい時期にはゆるめて、貯めやすいときはちょっと多めに貯めておくっていうスタイルをとってください」。

「固定費」の節約で手抜き

続いて、貯蓄分をよけた残りの生活費をどう使うかという話。1カ月に使う生活費は、自分の感情に関係なく払い続けている「固定費」と自分の感情に左右される「変動費」に分けられる。

「変動費」よりも「固定費」の節約を

「節約というと食費にまず目がいくんですけど、食費って変動費なので、節約するには買い物をしながら我慢を積み重ねることになります。それってけっこうきついんですね。買い物をするたびにこのチョコレートはいらないんじゃないかとか、ちょっと安いからキャベツを買おうとか、毎回悩まなきゃいけない。

おすすめなのは固定費を見直すことです。固定費には、住居費や保険料、通信費、月額の有料サービスなどがあります。一回目の見直しはけっこうむずかしいんですけど、一回見直せばあとは来月も再来月もずっとそのまま節約が続けられます」

さらに、自治体の施設やサービスなどを活用すること、確定申告をすること、ふるさと納税をすることなどでも節約はできるという。

自治体からの情報、確定申告、ふるさと納税の活用を

家計簿を自動化して手抜き

家計簿を自動化することも貯蓄につながるそう。そもそも家計簿は、家計の現状を把握するため、あるいは問題点を発見し、改善し、家計を健全化するためのもの。家計改善は以下のような流れで行われている。

(1)家計データを記録する
(2)データ記録を継続する
(3)溜まったデータを分析する
(4)改善案を検討する
(5)改善案を実行する
(6)貯蓄ができるようになる

このうち(1)(2)(3)は家計改善に直接影響がなく、「マネーフォワード」のような家計簿アプリで自動化できる。クレジットカードや銀行口座、ECサイトの情報を連携させることで、ばらばらに分かれて全体が見えなかったものがひと目で確認できるようになる。この場合、現金決済よりもクレジットや口座引き落としなどでキャッシュレスにすると入力する手間が減り、履歴がきれいに残っていく。

家計簿アプリ入力方法には自動でできるものも

さらにマネーフォワードでは、それらの情報が自動的にグラフ化されるので、円グラフで1カ月に使ったお金のうち割合の多い項目がわかる。棒グラフで月ごとに比べることもできる。

自動的にグラフ化されるのも家計簿アプリのいいところ

「12カ月の平均金額が出せるのもポイントです。一般的には新生活が始まる3月と新しい年を迎える12月はお金が出ていく月、2月や6月は比較的お金が抑えやすいといわれています。月によってお金を使う額は違うんです。12カ月の平均額を見ながら今月はそれより多かったのか少なかったのかチェックできるっていうのもいいですね」

家計管理で最も大切なのは、ざっくりいくらあるのか把握すること。「『残高家計簿』という発想があります。実はファイナンシャル・プランナーにも家計簿つけていない人はいます。でもみんな残高だけは把握している。これをしようと思うと家計簿アプリを使ってまとめて見るっていうのがすごく重要です」。

大切なのは残高

まずはできるところから。残高を把握して、先取り貯金のルールを決めよう!