JR東海はこのほど、新幹線駅と在来線駅合わせて47駅で天井の地震対策工事を実施すると発表した。今月から着手し、2026年度の完了をめざす。

JR東海発表による、駅天井の脱落対策のイメージ

今回の地震対策の背景には、東日本大震災において、建物自体に大きな損害がなくても、建物本体から吊り下げる構造の天井(吊り天井)が脱落する被害が多数発生したことがある。これを受けてJR東海では、天井の設計時の仕様を統一し、東日本大震災以降に新築または増改築した駅のすべての天井について、耐震性能の向上を図ってきたという。

2014年に施行された建築基準法関連法令の一部改正により、一定規模以上の吊り天井は「特定天井」と定められ、新築または増改築時に脱落対策を行うことが義務化された。JR東海によれば、東日本大震災以降に新築または増改築した同社の駅には特定天井は存在しないが、より安全性を高めるため、東海道新幹線の全駅と1日1万人以上の利用がある在来線駅のうち、震災前に設置された駅について、吊り天井の脱落対策を実施することにしたという。

実施する対策は建物本体と天井をワイヤーでつなぐ方法を基本とし、天井の構造形式や設備状況によっては、天井の取替えや撤去なども検討する。工事費は約130億円を見込んでいる。