国土交通省は6月17日、羽田空港機能強化により2020年までに国際線の年間発着枠が3.9万回拡大した場合、年間の経済波及効果(生産額の増加)は年間6,503億円、税収の増加は年間532億円、雇用の増加は年間4万7,295人が見込まれることを試算し発表した。

深夜・早朝時間帯以外の国際線に関しては、年間約6万回の現状から2020年には年間約9.9万回を目指している

羽田空港の機能強化・国際線増便は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを円滑に開催すること以外にも、訪日外国人を呼びこむことで日本全国の経済活性化、首都圏の国際競争力の強化、また、国内線と国際線を結ぶことで地方活性化等を目的にしている。

そのための方法として、運用時間を限定して都心上空をゆく新飛行経路を設定すると、1時間当たりの発着回数を現行の80回から90回まで増やすことができるという。深夜・早朝時間帯以外の国際線に関しては、年間約6万回の現状から2020年には年間約9.9万回と、最大で年間約3.9万回(約1.7倍)の発着回数の増加が可能になる計算となる。

この新飛行経路は都心上空となるため、国交省は説明会を通じて騒音や安全対策も含めた今後の取り組みを説明し、一般から意見を求めてきた。4月には説明会であがった意見等も踏まえた環境影響に配慮した方策として、専攻して検討していた都心上空を飛ぶ新飛行経路に関し、騒音・安全対策の観点から一部修正している。

新飛行経路の修正として、到着経路の進入を開始する高度を引き上げるとともに東側に移設する(悪天候時以外)

今回の試算は、羽田空港機能強化により2020年までに国際線の年間発着枠が3.9万回拡大した場合に、日本全国の経済・社会に与える効果を計測したもの。増枠に伴う旅客数の増加をもとに、「生産額増加」「税収増加」「雇用増加」の各項目について、直接効果(旅客の増加に伴う観光、空港関連産業の生産額等の増加)および、波及効果(直接効果により誘発される生産額等の増加)を計測した。

試算方法としてはまず、国際線の年間発着枠3.9万回拡大した場合の旅客数の増加を推計し、その旅客数の増加をもとに、直接効果(生産額増加、粗付加価値額増加)を計測。その際、旅客数増加のうち、転換需要を除く誘発需要のみを対象として直接効果を計測した。計測した粗付加価値額増加をもとに、税収増加および雇用増加を計測し、産業連関表および直接効果の計測結果を用いて、波及効果(生産額増加、粗付加価値額増加)を計測。また、その計測した粗付加価値額をもとに、税収増加および雇用増加を計測している。

経済波及効果(生産額増加)の試算

まず、羽田空港における国際線旅客数の増加に関しては、外国人旅客数は年間294万人、日本人旅客数は年間411万人、合計705万人を試算。経済波及効果(生産額増加)に関しては、1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)で直接効果で年間2,399億円、波及効果で年間2,412億円、合計で年間4,811億円を見込んでいる。

税収増加の試算

なお、1都3県を含む全国での影響を試算すると、直接効果で年間2,842億円、波及効果で年間3,661億円、合計で年間6,503億円を見込んでいる。この際の直接効果は、訪日外国人の消費、出国日本人の旅行前後消費、空港関連産業の売り上げ、航空券の売り上げ、空港アクセス消費の5項目を、波及効果は、一次波及効果額および二次波及効果額を計測している。

税収増加に関しては直接効果および波及効果分を含み、1都3県で年間381億円、全国では年間532億円を見込んでいる。雇用増加に関しては直接効果および波及効果分を含み、1都3県で年間3万2,849人、全国では年間4万7,295人の増加を見込んでいる。

日米路線における2016年ダイヤ

なお国交省は2月、2016年冬期(2016年10月末)から羽田空港の昼間時間帯に双方1日5便ずつ、深夜早朝時間帯に双方1日1便ずつ運航することで合意したことを発表。ANAに4便、JALに2便が割り当てられ、米・航空会社側からはアメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空、ハワイアン航空がそれぞれ申請している。

羽田空港では日米路線以外にも、2015年以降の新規就として3都市(天津、広州、シドニー)、航空会社では13社(香港ドラゴン航空、Peach Aviation、春秋航空、吉祥航空、天津航空、上海航空、中国東方航空、タイガーエアー台湾、 海南航空、奥凱航空、 V-Air、カンタス航空、アメリカン航空(再就航))が新規就航している。