奨学金を借りることができれば、大学進学は問題ないと思っていませんか。しかし大学入学に際しては、奨学金でまかなうことのできない多額の費用がかかります。どの時期にいくらくらい必要なのでしょうか。

奨学金では間に合わない!

合格後に入金が必要ということを想定し、教育資金を貯めましょう

高校3年生で日本学生支援機構の奨学金を申請し、無事に審査を通過。志望校にも合格して万々歳! と思ったあなた、ちょっと待ってください。実はその奨学金、大学の入学金と前期の授業料支払いには間に合わないのです。

審査を通過すると受け取れる「奨学生採用候補者決定通知」は、あくまで奨学金を受け取る権利を得たというもの。入学直後に行う「進学届」の手続きを終えて初めて、正式な奨学生であることが決定します。そのため奨学金が入金されるのは、大学に入学した後。入学前に払わなければならない入学金や前期の授業料、私立の場合の施設費・教育充実費の支払いにあてることはできません。

さらに見落としがちなのが、大学入試の際にかかる「受験料」です。例えばセンター試験(3教科以上)には1万8,000円(平成27年度)、国公立大学の2次試験には約1万7,000円の費用がかかります。私立大学の受験費用は2万~5万円が多く、遠方の大学を複数受験するとなると、交通費・宿泊費を合わせて数十万円かかることもあるのです。

高3の夏までに、必要な現金の用意を!

これらの費用を高校3年生の冬までに貯めておけばいい……というと、実は遅い場合もあります。少子化により優秀な人材をできるだけ確実に確保したい学校側の思惑もあり、近年、入試スタイルが昔では考えられないほど多様化しているからです。

その1つがAO(アドミッション・オフィス)入試。学生の能力が受け入れ側の大学の求める人物像とマッチングしているか、書類や複数回の面接を通して判定するもので、現在多くの大学・専門学校が導入しています。この入試では、エントリー期間が高校3年生の5~7月、試験実施が8~10月とスピーディーに合格が決定します。そして合格決定後は速やかに、入学金や前期の授業料の支払いが必要になります。

つまり、入学に必要なお金を用意するための期限はどんどん前倒しされているということ。進路選択の仕方にもよりますが、高校3年生の夏までには入学に必要なお金を現金で用意しておくと安心です。もし足りなければ、教育ローンなど、他の対策を早め早めに講じていく必要があるでしょう。

著者プロフィール

マイライフエフピー代表 加藤葉子
子育て真っ最中のファイナンシャルプランナー。子どもを授かったことをきっかけに、教育費や学資保険の仕組みなどに興味を持ち、ファイナンシャルプランナーの勉強を始め、3年で子どもの教育資金を貯める。現在は、全国の女性からの教育費・老後資金・起業・離婚・投資なのお金の相談を中心に執筆・マネー講師として活動しながら、ファイナンシャルプランナーの育成にも力を入れている。自身のホームページ「女性とシングルマザーのお金の専門家」でもお金にまつわるお役立ち情報を提供している。