声優・大橋彩香

声優・大橋彩香の1stワンマンライブ「Start Up!」が6月5日、Zepp DiverCity (TOKYO)にて開催された。

バンドメンバー、ダンサー2人に支えられながら、予定外の1曲を加えた全16曲を歌い上げたワンマンライブ。本記事では、「今回のライブで『大橋彩香』を全力で表現していけたらいい」と語っていた彼女の1stワンマンライブの模様をレポートする。

アルバム発売前からみられた魅力が詰まった前半パート

本公演は、2016年5月18日に発売した1stアルバム『起動 ~Start Up!~』と同じ名前がつけられており、舞台にはアルバムのジャケットと同じく木々が配置され、ライブ開始前にはステージの巨大モニタに映像が流れだす。その内容はパソコンの起動画面を模しており、まさしくいまこの瞬間から、アーティスト・大橋彩香が誕生する、そんなはじまりとなった。

今回のライブは、短めのMC、生バンド演奏、アンコールまで休憩なしでぶっ続けに進行するなど、最初から最後まで「音楽を楽しんでもらう」ための構成となっていたのも特徴的だった。

一曲目として選ばれたのは、アルバムリード曲の「ABSOLUTE YELL」。自身が好きだという花があしらわれた、白とピンクを基調にした衣装と花冠を身にまとった大橋が舞台下からせりあがってくると、客席は一気にヒートアップ。大橋のライブではおなじみとなったピンク色のサイリウムが咲き乱れた。大橋は初めてのワンマンライブにもかかわらず、一切の緊張を感じることなく満面の笑顔で歌を披露。自身のポリシーでもある「みんなを笑顔にすること」を実現するためには自分が笑顔にならないといけない、と語っていた彼女をまさに体現するパフォーマンスでスタートを切った。

続けざまに、自身が出演したアニメ『コメット・ルシファー』のタイアップ曲でもあった「裸足のままでもこわくない」と「Doing Now!」の2曲を熱唱。「Doing Now!」 はアルバム未収録の曲であり、大橋のバースデーイベント「大橋彩香バースデーイベント~はっしーバースデー2014~」で初めておひろめした一曲。イントロ・サビの「Doing Now!」の部分を観客が大橋に合わせてコールしたり、リズムにあわせて手拍子をしたりと、大橋と観客が一体となった演出に、会場はさらなる熱気に包まれた。

MCもそこそこに、次は3rdシングル「おしえてブルースカイ」と、最後の「にゃーん」という甘い声・猫のポーズがかわいらしい「にゃんダフルらぶ」の2曲を熱唱。どちらも「大橋彩香バースデーイベント~はっしーバースデー2015~」でも歌われた曲だったが、そのときよりも安定感のある、淀みのない透き通った歌い方で、観客を虜にした。

夢だったアコースティックバージョンで魅せる“大橋彩香”の一面

ここまではイベントでも歌ってきた曲を中心にしたパフォーマンスだったが、続くアルバムオリジナル曲「ジャスミン」と「明日の風よ」では、アーティスト・大橋彩香の今までとは違う一面が見られた。それは大橋自身もライブでやるのが夢だったとMCで語った、アコースティックバージョンでこの2曲を歌い上げたこと。思い切り息を吸い込み、心地のよい抑揚をつけて歌った彼女に、会場からも惜しみない拍手が送られた。

アコースティックバージョンの後は、大橋が一度舞台からはけて、バンドメンバーとダンサー2人による演奏&ダンスソロのコーナーが設けられた。休憩を挟むのではなく、クオリティーの高い演奏とダンスを構成のひとつに入れたことに「音楽を楽しんでもらいたい」というこだわりがひしひしと感じられた。そして、演奏が終了すると同時に、紺色ベースのドレスを身に纏った大橋が再び登場。アルバム未収録の「Super Dreaming Days」を、「学校生活」をイメージしたという演技・パフォーマンスを取り入れたミュージカル風の演出で披露した。

内なる新たな一面を歌にのせて

駆け抜けてきたライブもいよいよ後半パートに突入。「ここからはカッコいい大橋彩香をお楽しみください」というMCの後に流れたのは、自身の核の部分に触れているというアルバム収録曲「RED SEED」のイントロ。生バンドによる演奏がスタートすると会場のサイリウムの色が真っ赤に染まり、「待ってました」と言わんばかりの歓声があがる。それに呼応するように、大橋は訴えかけるような歌い方と表情で会場を魅了した。

続く「No Surrender」は、大橋初のオリジナル楽曲で、アルバムでは生バンドによる音が加わるなどのアレンジがされた楽曲。初披露時は反省点が多く、「これからもっともっとこの曲と向き合って、完成度を高めて行きたい」と自身のブログで語るほど、大橋にとっては乗り越えなくてはならない楽曲だった。2014年・2015年のバースデーイベントを経て進化した同曲からは、確実に高まった完成度を感じ取れる。特にマイクスタンドを使ったパフォーマンスは圧巻だ。

休むことなく、アルバムオリジナル曲「勇気のツバサ」へ。かつて本人は、表現方法に悩んだ曲と語っていたが、悩みなど微塵も感じさせないほど堂々と歌い上げていた。