ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」は17日、東京都台東区浅草の商業施設「まるごとにっぽん」内に"日本初"の「ふるさと納税」実店舗となる「ふるさと納税コンシェルジュ」をオープンする。特例控除額の上限拡充などでますます注目があつまるふるさと納税について、さとふる 取締役 経営戦略室 室長 高松俊和さんにお話を伺った。

日本初のふるさと納税の実店舗「ふるさと納税コンシェルジュ」

制度が変わり、いっそう簡単になったふるさと納税

「ふるさと納税」とは、自治体に寄附をすることで自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税や住民税から控除される寄附金制度。以前に「ふるさと納税で食費ゼロを実現した人」を紹介したように、節税だけでなく自治体より送られる特産品などの「お礼の品」を楽しむことができる点も魅力の1つだ。

また生まれ故郷にかぎらず、自分の好きな自治体に寄附を行うことが可能で、お金の用途を「教育」「育児」「医療」「環境保全」など自由に選択できる。2015年からは控除額が約2倍になり、一定条件を満たせば確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」もスタート。以前より簡単になったことから一層の注目を集めている。

2015年に制度が変更(総務省 ふるさと納税ポータルサイトより)

現在ふるさと納税の申請手続きは、「さとふる」や「ふるさとチョイス」といった民間のふるさと納税ポータルサイトからの申し込みが主流になっている。一方で、年配者を中心に「制度の趣旨が複雑でわからない」「パソコン操作が苦手でうまく申請できない」「どの地方自治体を選んだら良いかわからない」という意見が寄せられていたという。

日本初の常設実店舗オープン

こうした利用者の声を受け、さとふるは実店舗「ふるさと納税コンシェルジュ」のオープンを決定。17日に開業する浅草六区の新商業施設「まるごとにっぽん」3階の「浅草にっぽん区」内に出店することとなった。「まるごとにっぽん」は、全国各店の地産セレクトグルメや地方の伝統工芸品などを紹介し、地方の魅力を発信することをコンセプトにした施設で、ふるさと納税の趣旨とも合致していることから、出店が決まったという。

「さとふるの実店舗はこれまで短期間限定のみで、常設店舗は初めてとなります。対面式で相談に乗れるので、年配の方にも安心してふるさと納税をしていただけるのではないでしょうか。浅草という立地も日本の『ふるさと』というイメージを体現する場所であり、年配の方にも来ていただきやすい場所だと思います」(高松さん)

同エリアでは、ふるさと納税のほか地方へのIターン・Uターン就職や観光旅行の相談もすることができる

ウェブ上では、1番申し込みが多いお礼品に目が行ってしまうが、コンシェルジュに相談することで、その人に本当にあった商品を案内してもらえるという。

「大家族ならボリューム重視、少人数ならちょっと高めの貴重な品や小分けにできて食べやすいものなど、相談者にあったお礼品をご案内できます。ウェブでは埋もれてしまっているけど実はおすすめのものなどもお伝えできるかと思います。カウンターでは申請のやり方なども説明させていただく予定です」(高松さん)

お礼の品、人気はやっぱり「肉」「カニ」

さとふる及びふるさと納税コンシェルジュでは、12月18日に新たに加わる神奈川県大井町を含めた計64の自治体を紹介する。お礼の品は鉄板の肉や米から、「パラグライダー体験」「乗馬体験」「日本一若い町長によるおもてなしツアー」といった変わったものまで、地域の色が出ていて見ているだけでも楽しい。

「いいお礼の品は『早い者勝ち』になってしまうというところはあります。人気のグルメは『北海道八雲町の毛ガニ』『佐賀県嬉野市の佐賀牛』などですね。また、同じお肉でも、何を重視するかによっておすすめが変わります。おいしい赤身が食べたいなら『北海道白老町の白老牛』などもいいと思います」(高松さん)

カニ・肉が人気(さとふる HPより/ランキングは取材時のもの)

高松さんによると、12月は駆け込み申請が非常に多くなる時期だそう。ふるさと納税コンシェルジュにもふるさと納税希望者が多く来場するだろうと予測していた。

なお、ふるさと納税コンシェルジュが入る「まるごとにっぽん」には、地方の食材や総菜を集めた「にっぽん食市場 楽市」、地方発の生活用品を展示販売する「暮らしの道具街 和来」、市町村が情報発信を行う「浅草にっぽん区」、そして風土に根付いた郷土料理を楽しめる「ふるさと食堂買い 縁道」がある。館内を巡って気になった地方にふるさと納税をしてみるというのも良さそうだ。

まるごとにっぽん 外観

館内ではグルメや雑貨などを通して地方の魅力を体験できる

覚えておきたいふるさと納税の注意点

ふるさと納税をする上での注意点として、2016年分の住民税・所得税の控除を受けるためには、2015年12月31日までにふるさと納税の決済(入金)を済ませておく必要がある。また、自治体の役所が年末休暇に入っていることもあるため、申し込み時期が12月末となりそうな場合は各自治体に確認した方が安心だろう。決済方法が銀行振込ではなくクレジット決済であれば、31日の申請でも間に合う可能性がある。こちらも要確認だ。

また、2015年内に行った納税は、2016年3月15日までに確定申告が必要。ただし、前述のワンストップ特例制度により、「2015年1月1日~3月31日までにふるさと納税をしていない」「会社員などで確定申告をする必要がない」「寄附先が5自治体以内」の条件をみたす場合は確定申告が不要になる。詳細は総務省のふるさと納税ポータルサイトや民間ポータルサイトを参考にしてほしい。