アニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア』の初日舞台あいさつが10月31日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、キャストよりエドワウ・マス(前作のキャスバル)役の池田秀一、セイラ・マス(前作のアルテイシア)役の潘めぐみ、シャア・アズナブル役の関俊彦、安彦良和総監督が登壇した。

左から関俊彦、潘めぐみ、池田秀一、安彦良和総監督

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は、安彦良和氏が手がけるコミックス『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のアニメ版シリーズ(全4話)。本作は2月に公開された『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』に続く第2話で、10月31日~11月13日までイベント上映される。のちに"赤い彗星"シャア・アズナブルと呼ばれるエドワウ・マスと、妹セイラ・マスの若き日の悲劇に満ちた流転の物語を軸に、壮大な人間ドラマが描かれる。

本作でシャア(『機動戦士ガンダム』に登場する"赤い彗星"シャア=エドワウ・マス=キャスバルとは別人)を演じた関は「自分の役名を紹介されるのにこんなに緊張することはありません。シャア・アズナブル役の関俊彦です!」と緊張の面持ちであいさつした。

池田演じるエドワウと風貌が瓜二つのシャアを演じたことについて、関は「原作の『ガンダム THE ORIGIN』を知らなかったので、オーディションで"本物のシャア"という単語を見てびっくりしました。エドワウと同等の存在感を出しつつ、エドワウと正反対の性質を出せるようにすごく頑張りました」とコメント。池田が「敬愛する関さんに本物のシャアをやってもらいたかった」と話し、続けて「関さんは違う『ガンダム』シリーズで仮面かぶってなかった?」と指摘すると、関もタジタジの様子だった。

潘めぐみは、本作では役名がアルテイシアからセイラ・マスに変化。「セイラ・マスという役名を見て震えが走りました。今回の作品では、彼女にいろいろな別れが訪れます。アルテイシアは大人の世界や周囲に置き去りにされていく女の子で、最後のシーンは兄さんにまで置いて行かれてしまうところに哀しみを集約させました」と振り返る。セイラに似た髪の長さになったことを聞かれた潘は「役に合わせて髪を切るという経験をしてみたかったので、アルテイシアからセイラになるという機会にばっさり切ってみました」と明かした。

アフレコについて安彦氏が「池田さんの第一声が(青年時代の声が今出せるか)心配でしたが、聞いてまあ大丈夫かなと安心しました」と語ると、池田も「初めてのアフレコのように緊張しました」と収録時の心境を吐露。今回のラストシーンがエドワウとセイラの別れになることは、安彦氏は最初から決めていたとのことで「パロディの好きなファンに格好のネタにされていたシーンなのですが、そこを描いて笑われてはいけないと、魂を込めて描きました。手前みそではありますが、うまくできたと思っています」と自信をもつ。エンディングバックが黒一色のシンプルな画面であることについては、「関係者に心配されましたが、余韻を味わってもらうために真っ黒にさせてもらいました」と語った。

最後には、安彦氏から次回作が来年春の公開に向けて制作中であることが明かされた。それを受け、池田が「原作を読んで、どうしてもエドワウをやりたい、エドワウからシャアへの気持ちの流れを演じたいとわがままを言いました。来年の春公開の第3作では、いよいよエドワウがシャア・アズナブルに変貌していきます。また頑張りますので、この先もよろしくお願いします」と力強くあいさつ。安彦氏も、「先日古谷徹さんがラジオで話していたのですが、『ガンダム』のテーマは"人はなぜ戦争するのか"ということなんです。次作からはいよいよ物語が戦争に向けて動き出すので、そこを頭において作りたいと考えています。原作とは違って時系列ごとにアニメを作ることになったのですが、結果としてそれがよかったと思っています。これから物語が進むにつれて、だんだん『ガンダム』らしくなっていくのでよろしくお願いします」と次作への期待とともにイベントを締めくくった。

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