10月20日、デルは新しくなった13.3型モバイルノートPC「XPS 13」と、15.6型ノートPC「XPS 15」を発表。直販モデルは同日から販売を開始する(店舗販売は11月中旬を予定)。

新型のXPS 13(クリックで拡大)

15.6型のXPS 15(クリックで拡大)

都内で行われた発表会ではまず、デルの田尻氏が「XPS」の位置づけと前モデルに関してコメント。「Xtreme Perfomance System」の略となるXPSは、上質かつ洗練された製品が欲しい人向けのモデルだ。2015年1月から(前モデルの)XPS13を出荷しているが、この製品セグメントとして、コンシューマーとビジネスを合わせて5倍の成長となったという。

売り上げ増に関しては、「カッコいい」「バッテリの持ちが良い」という評価や、各種の受賞にも表れており、一例としてグッドデザインを受賞したことを紹介。販売開始時は直販のみだったのに対し、最近注力している「店舗販売、ノートパソコン」を反映し、2015年末には380店舗での販売も予定していると述べた。

【左】デル マーケティング統括本部 ビジネス&コンシューマーマーケティング本部 ディレクター 田尻祐一氏。【中】改めてXPSシリーズを解説。最高のパフォーマンス(と見た目)を実現した、上質さを求めるユーザー向けの製品。【右】XPS 13発売前後ということで、一年前の数字と比較して5倍売れた(コンシューマー、ビジネス両方合わせた数字)

続いては、デルの添田氏が新モデルのXPS 13と、新たに投入するXPS 15に関して詳細を説明した。

【左】新XPS 13を持つ、デル クライアント製品&ソリューションマーケティング本部 コンシューマー製品部 マネージャー 添田貴嗣氏。【右】11型クラスの本体サイズで、13.3型の液晶ディスプレイを搭載するXPS 13

XPS 13は、CPUに第6世代Intel Coreプロセッサ(開発コードネーム:Skylake)を使用し、さらにThunderbolt 3 with USB 3.1 Type-Cを採用してグレードアップ。外部ディスプレイ接続ポートもMini DisplayPortからUSB Type-Cコネクターに変更となった。

また、上位グレードにはPCIe SSDを搭載することで、パフォーマンスアップを図っている。本体カラーも、従来のシルバーに加えて、ゴールドを新たにラインナップした。

【左】第6世代Intel Coreプロセッサや、Thunderbolt 3、USB Type-C。Mini DisplayPortの外部映像出力はThunderboltへと統合された。【中】ストレージはPCIe接続でさらに高速に。【右】従来のシルバーモデルはそのままに、ゴールドモデルを追加。個人的にはブラックが欲しい

ここで、同じようなアルミボディを採用した「A社」の13型製品と比較。5.2mm狭額縁の液晶ディスプレイによって、同じディスプレイサイズでも17%小さい。バッテリ駆動時間は最大18時間と、世界最長レベルであると主張した。

【左】色も素材も似ている「A社」製品と比較。【中】液晶ディスプレイのベゼル幅が5.2mmということ、大きさはXPS 13のほうが17%小さい。【右】バッテリ駆動時間は18時間と非常に長い。これでも足らない人は、オプションのモバイルバッテリが使える

一方、15.6型液晶ディスプレイの新モデル、XPS 15も投入。世界最小の15インチノートPCを目指している。XPS 13との違いとしては、クアッドコアCPUとDDR4メモリを採用し、上位モデルには4K IGZO液晶とNVIDIA GeFroce GTX 960Mを搭載した。パワーを求めるユーザーに向いている。

【左】ラインナップに加わったXPS 15。こちらも狭額縁で世界最小。【中】XPS 13との違いはディスプレイサイズ以外に、クアッドコアCPU、DDR4メモリ、GeForce GTX 960M搭載でパワフルなこと。そして4K IGZO液晶モデルがある。【右】直販ストアは10月20日から発売、量販店では11月中旬ごろから発売

XPSデザイナーが語る、XPS作りのポイントは「最高の素材感」

今回の発表会では、デルのデザイナーであるマック・トシユキ・タナカ氏も登壇し、デザインから見たXPSの魅力を語った。

タナカ氏は日本人で、もともとは東芝でノートPCのデザインに携わっていたが、2003年にデルに入社。台湾デザインセンターの立ち上げにも関わり、現在はシンガポールのデザインセンターに在籍しているという。

「薄い」をウリにしている製品が多いノートPCだが、XPSは縦横サイズも小さく、かつ美しいことを追求した製品とした。美しさのために、妥協しない本物の素材選びから始まり、4年~5年かけて設計した結果が、現在のXPS 13とXPS 15になったという。

【左】グローバル・デル・エクスペリエンス・デザイン・グループ ディレクターのマック・トシユキ・タナカ氏。【中】XPSのデザインで重要視したのは小さいことと本物の質感。【右】XPSの設計で新要素が。アルミ削り出しケース、狭額縁液晶、カーボンファイバーコンポジット素材

今回のXPS 13とXPS 15では、天板と下部ボディには削り出しのアルミを使用。アルミの塊をCNC加工機で削り出してから、サンドブラストで滑らかにして、さらに2回の陽極酸化加工で仕上げている。

【左】液晶天板の未加工素材。実際に持ってみたが、これだけで1kg以上ある感じだ。これをCNC加工機で削る。【中】削ったものがこちら。この加工だけで30分以上かかるらしい。【右】サンドブラストで滑らかに仕上げ、さらに陽極酸化加工した天板の完成品。かなりの手間とコストがかかっている

本体の小型化に影響する液晶ディスプレイに関しては、LCDメーカーに打診して共同開発した液晶を採用している。このためか、タッチ機能を含めても5.2mmの狭額縁化を実現し、さらに表面にゴリラガラスを使用して美しさと強度を確保。

上部ボディにはカーボンファイバーを含めたコンポジット材を採用し、内側にはマグネシウムフレームを含めて薄さと強度、そして美しさを実現している。ちなみに、前モデルのXPS 13と今回発表のXPS 13は、基本的に同じ構造となっているそうだ(上部ボディのデザインが若干変わっている)。

【左】発表会後に展示された外装ケースの素材と加工途中、完成品群。【中】左から加工前の素材、CNC加工で削り出したもの、完成品の裏面。【右】こちらは表面。削り出しではなく鍛造で仕上げる方法もあると思ったが、削り出しのほうがコストの面で有利だそうだ

【左】陽極酸化加工は2回行い、さらにエッジをダイヤモンドカット。ネジ穴も外形の曲面に沿って斜めに穴開けしているそうだ。【中】カーボンファイバー材。これをプレス加工してから位置決めの穴を開け、切削処理を行う。縁とキーボード部に樹脂をモールドし、さらにマグネシウムフレームをつけたのが右側の完成品。【右】トップカバーを裏から見たところ。補強とネジ受けをマグネシウムフレームが担当しているのがわかる