最後に紹介するのは、JR東西線「北新地」駅そばにある曽根崎新地ビルの5階で営業する「カレーや デッカオ」。こちらも、夜はバーとして営業している空間を昼間だけ借りて営業する「宿カリー」だ。オーナーの奥さまがスリランカ人の母を持つハーフで、デッカオのカレーは奥さまの「母の味」をベースにしている。

3つ合わせるとまた別の味に

今回紹介するのは、チキンカレー・ナスカレー・本日のカレーと、その日食べられる全種類が味わえる「本日の全種類カレー」(1,050円)。最初はそれぞれのカレーを個別に食べ、その後は3種類のカレーに加えて付け合わせのトマトサラダも全部一緒に混ぜて食べる、という順で味わえば、このカレーのおいしさをフルに味わうことができる。

「本日の全種類カレー」(1,050円)は食べ方いろいろ

チキンカレーは甘さと酸味、そして控えめな辛さのバランスが絶妙。ナスカレーは一番人気らしく、カリカリに揚げたナスをタマネギやスパイスで和えている。そして、この日の本日のカレーは、エビの旨みとトマトを感じるエビカレーだった。この3種類のカレーと一緒に混ぜて食べると、個別に食べた時とはまた違った旨みのハーモニーが口いっぱいに広がる。

トマトサラダは母の愛

さらに、3種類のカレーにはトマトサラダが加わる。トマトサラダは奥さまの母が野菜嫌いの娘に野菜を食べさせようと作ったサラダで、トマト、タマネギ、シシトウなどの野菜に、ほんのりと酸味が利いている。トマトサラダをカレーとよく混ぜて食べると、カレーにタマネギのシャキシャキ感加わってまたいい味だ。

トマトサラダでまたカレーの味に変化が生まれる

「カレーにとって辛さは大切な要素ですが、『デッカオ』のカレーはあえて辛さを控えめにしています。それはスパイスカレー本来の複雑な味わいを楽しんでほしいから。ぜひよく混ぜて食べていただき、酸味と辛みの一体感、素材のうまみを楽しんでください」とオーナー。

「カレーや デッカオ」はJR東西線「北新地駅」そばのビルの中にある

多様な個性を受け入れる土壌がある大阪だからこそ、個性的な「宿カリー」も受け入れられやすいのかもしれない。あなただけの「宿カリー」をぜひ見つけていただきたい。

※記事中の価格や情報は2015年9月時点のもの。価格は税込

筆者プロフィール: 中 直照(なか なおてる)

大阪出身のコピーライター。出版社や中堅ゼネコンなどを経てフリーライターとして独立。その後、2011年にショートカプチーノ設立。コピーライターとして経営者インタビューや企業広報誌、店舗取材など、幅広く執筆。ほかにもホームページ用コンテンツの企画や制作などにも携わっている。