図書館は本を読むだけの場所じゃない!

最後に図書館を訪れたのはいつだったか覚えているだろうか。一般的な図書館のイメージはとにかく静かでマジメな、どちらかというと地味な雰囲気。活字離れや電子化でもあって、行く必要性も感じないという人もいるだろう。しかし、どうやら最近の図書館は様変わりしているようだ。そんな、時間を作ってでも行ってみたい東京都の図書館を紹介しよう。

ゆったりくつろげる図書館

読書や研究は、何も机にガッチリかじりついてするものとは限らない。ゆったりした空間と、ずっといたいと思わせるような温かみのある雰囲気があれば、本はもっと身近になるはず。

北区にある「北区立中央図書館」は、赤レンガ倉庫を図書館の一部とした、レトロモダンの重厚感と美術館のような近代的建築を併合させた図書館だ。東京23区とは思えない広々とした空間で、内部にはカフェも併設している。これからの暖かい季節には風を感じるテラス席での読書を楽しんでみてもいいだろう。

さらに穏やかな雰囲気に浸りたいなら武蔵野市の「武蔵野プレイス」がオススメ。三鷹の森ジブリ美術館のある三鷹駅の隣、武蔵境駅から徒歩1分という立地で、広い庭園には木々が茂っている、まさに癒やしの図書館だ。

地下3階、地上4階の巨大な建物ながら白く丸みを帯びたフォルムで、建築としても一見の価値がある。壁と天井の境目がない内装は、まるで雲の中にいるようなふんわりした雰囲気。ダンスや演劇、バンドの練習ができるスタジオに、小さいながらボルダリングのウォールもある。

コアな「食」専門の図書館も

ダイエットや健康、料理など、食に関心のある人にオススメなのが、港区にある「食の文化ライブラリー」。調味料でおなじみの味の素が開設した図書館で、食に関係する書籍が約4万冊所蔵されている。中には江戸時代の料理書までもがあるという。また、専門家を招いた食関連の公開講座も定期的に行われている。

食があるなら酒もある。同じく港区にある日本の酒情報館「SAKE PLAZA」だ。約6,000冊の蔵書があり、別フロアでは蔵元自慢の日本酒、焼酎、泡盛の販売も行っている。有料で5銘柄の利き酒も楽しめるという、お酒好きにはいくつもの楽しみがある図書館だ。蔵書の閲覧は事前問い合わせが必要なので注意しよう。

食の文化ライブラリーで江戸時代の料理法を調べ、SAKE PLAZAで日本のお酒を手にしたら、夜は日本づくしのディナーを楽しめるかもしれない。

完全会員制「超高級図書館」

ワンランク上の図書ライフを楽しみたい人には、完全会員制の「アカデミーヒルズ」を訪れてみてはいかがだろう。組織に縛られない生き方をするビジネスパーソンの"知の拠点"として開設されたスタイリッシュな図書館だ。

理事長は経済学者として知られる竹中平蔵氏。六本木、アークヒルズ、平河町の3カ所があり、館内にはワークスペースやカフェ、ラウンジも設けられている。中にはミーティングルームがあるものもあり、シェアオフィス的にも利用できるという。

蔵書は数千冊と一般的な図書館と比べると多くはないが、その分、ビジネスや古典などそれぞれに特徴ある本が置いてある。最新情報を入手し、ネットワークを築いていくという図書館の枠を超えた目的があるようだ。初回手数料5,000円と月会費9,000~3万円(税別)が必要であることから、利用にはそれなりの覚悟が必要かもしれない。

時代の流れとともに人々の感覚が変化していくにあたって、図書館もどんどんユニークになってきているよう。くつろぐため、またはビジネスのためなど、利用の仕方も多様だ。これからはスケジュール帳の予定に「図書館」を加えてみてはいかがだろうか。

※写真はイメージで本文とは関係ありません