スタートから1カ月あまり。早くも低視聴率の代名詞になっている『バイキング』。もはや「いつ打ち切りになるか!?」で持ち切りだったが、今月に入って変化の兆しが見えはじめている。

『バイキング』の水曜MCを務めるおぎはやぎ(左:小木博明 右:矢作兼)

例えば、5月6日(火)の放送では、EXILEのTAKAHIROとNAOTOが特別にダブルMCをつとめ、「TAKAHIROが下ネタ連発」「NAOTOがブレイブボードとエクストリームけん玉に生挑戦」など、いつにない攻めの姿勢が目立った。

そして5月7日(水)は、さらなるハジケっぷり。まずMCのおぎやはぎがバナナマンと森山直太朗をその場のノリで番組へ呼んでしまう。程なく直太朗がスタジオに現れると義兄の小木博明が「かけつけ『さくら』を歌ってよ」とリクエスト。渋々ながらも直太朗がアカペラで歌うと、さらに悪ノリ。「番組のテーマソング作って」とムチャ振りする。

これを直太朗は「本当にやりたくない」と完全拒否。しかし、一向にあきらめない二人に折れて、「ゼロからは厳しいのでテーマ(歌詞)をもらえたら」という条件付きで引き受けた。

『ヒルナンデス』っぽくない曲で!

ケンドーコバヤシらが適当なフレーズを言っていく中、最もウケたのはAKB48の川栄李奈。元気よく「視聴率アップ」と言って、矢作兼に「本当のヤツ言うなよ!」と怒られていた。さらに矢作は直太朗に「『ヒルナンデス』(のテーマ曲)っぽくならなきゃいい」とライバル番組を名指ししてウケを取る。芸人がこれくらい思い切ったコメントをしてこそ、生放送バラエティだ。

一方、小木は直太朗に曲を作らせておきながら、各コーナーのコメントを求め、「オレ、いつ曲作ればいいの」と困らせる。さらに笑顔の消えた直太朗は、「番組中ですが、静かにしていただけると……」と真顔で懇願。ゲストのはずが、控室に引っ込んで曲作りするハメになってしまった。

森泉「私がCD100枚買ってあげる」

続くコーナーの振り切り方も特筆モノ。「川栄李奈AKB48選抜総選挙センターへの道」という企画を打ち出しながら、川栄が「私はメディア出演できる16位以内の選抜に入りたい」といきなりトーンダウン。本人による企画つぶしはちょっとしたハプニングだが、その川栄に浴びせる小木のツッコミが良かった。「(25位のクセに)じゃあ何で今、出てんだよ!」。

すると森泉が、「私がCD100枚買ってあげる」と正直すぎる応援コメント。さらに、選抜入りには数万票が必要と分かったら、「じゃあ、お金持ちの友だちにいっぱい声かけなきゃ」と身もフタもないお金持ちアピール。矢作が「結局お金になっちゃうじゃん」とコーナーを締めくくった。生放送でここまで言ってしまえるのは痛快だし、MCとレギュラーのノリが見事にシンクロしていた。

テーマ曲『いつか必ずつかメンディー』

エンディングでは、直太朗が作った番組テーマソング『いつか必ずつかメンディー』を披露。「本当は伊藤アナじゃなく、カトパンがいいと思ってる。テレビ的なアレじゃなく、みんな本当に思ってる」などのくだらない歌詞を入れつつ、サビは「ダイオウイカよりでっかい夢をいつかつかメンディー」とキレイにまとめたのはさすがだった。見事な即興ソングにスタジオは大拍手。

残り数秒というところで、ダイオウイカの捕獲ロケに小木も急きょ参戦することが決まった。さらに日村や直太朗までノリで誘ってしまうムチャクチャ状態で、番組は終了。この日の『バイキング』には、笑いと感動が確かにあった。

演出に『地引網クッキング』の影響が

どう見ても『バイキング』の演出が変わっている。その影響はおそらく、月曜の人気コーナー『日本全国地引網クッキング』だろう。7日の放送は、サンドウィッチマンの破天荒ぶりと、「現場で何が起きるか分からない」ハラハラ感がベースになっている気がした。

「坂上忍の二日酔い出演」や「江角マキコvsビッグダディのバトル」など、見るからに予定調和な演出が姿を消し、この日のような生放送バラエティの醍醐味を見せられれば、『バイキング』は沈没することなく、フジテレビに押し寄せる荒波を乗り切っていけるかもしれない。

低評価ばかりが目立つが、『バイキング』は確実に4月より面白くなっている。同番組に全く義理はないが、「面白いものは面白い(ときどき)」。先入観で決めつけず、一度見てほしいと思う。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴する重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。