3月5日(サンゴの日)に、国内では27年ぶりに31番目の国立公園に指定される見通しの「慶良間(けらま)諸島」。サンゴ礁の生態系とザトウクジラの繁殖海域などが高く評価され、指定区域のほとんどが海となっている。ダイビングで日本にやってきた外国人から、ケラマは世界一美しいダイビングスポットだ、と聞いたこともあり、ぜひ一度訪れてみたいと思っていた場所でもある。

写真提供:一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー

■ホエールウォッチングを体験
そんな国立公園となる海を手軽に体験できるのが「ホエールウォッチング」。那覇からでも参加可能で、観光の途中でも楽しめることもあり、今でもシーズンの12月から3月には多くの観光客でにぎわっている。そこで、国立公園化を前に「ホエールウォッチング」を体験してみた。

■乗船し、いざ出発!
出航は午前9時。前日までに予約を済ませ出航する港に集合、さっそく受付と支払いをすませて乗船する。ライフジャケットを装着し、船の上では方向は正面を12時として時計の時刻で言うことなどの注意事項を聞いた後にお待ちかねの出発だ。 比較的晴れていて暖かい日だったので、甲板で風を浴びながらのんびり海を眺めているだけでも気持ちがいい。だんだん那覇の街や空港が遠ざかり、遠くに慶良間諸島が見えてくると、船に乗っている楽しさと、これからクジラが見れるかもしれない、という期待で、乗客同士で盛り上がってくる。

■ザトウクジラ発見?
ザトウクジラを探す目印は、高くあがるブロウ(呼気)。ひたすら海に上がるブロウを発見しようと、船の上から目をこらしながら海を進む。途中、ナガンヌ島という白い砂浜だけの無人島を通り過ぎ、スタッフからクジラの生態やさまざまな「クジラあるある」などを聞いていると、他のスタッフたちが急にあわただしくなる。急いでカメラを用意して、周囲を他のお客さんと協力しあって見渡し続ける。するとスタッフが「二時の方向200m!」と叫ぶ。みな一斉にその方向を見ると、ザトウクジラの尾びれの部分が水面に消えていく……。おしい!

■瞬間をとらえた!
クジラは約15分に1回呼吸をしに水面に上がってくるとのこと。また出てくる瞬間を狙って船は移動する。やがて「9時の方向100m」という声がしたので、そちらにカメラを向けると、潮を吹きながらゆっくりと水面からザトウクジラの頭の部分が出てきて水面に潜るまでの間を、遠くからながらとらえることができた。ほんの少しの間でもクジラをこの目で見るのは、想像以上の興奮する瞬間で、ザトウクジラが快適に子育てできる美しい環境を守っていく大切さを身をもって実感した体験となった。

そのあとは天候が急転して、波が高くなり帰港することに。ただ、クジラが元気なパフォーマンスを見せてくれるのは、比較的天気の悪い波の荒い日が多いのだという話も聞いて、帰りも少し期待したのだが、それきり姿を見ることはできなかった。

■「ミシュラン・グリーンガイド」で二つ星の島
今回は約2時間のホエールウォッチング体験だったが、もっと慶良間諸島のことを知りたかったら、島に滞在するのもいいだろう。 「ミシュラン・グリーンガイド」の日本編で二つ星が与えられた座間味島では、サンセットをバックにホエールウォッチングも可能で、シュノーケリングやダイビングなどで国立公園となる海を満喫できる。島のあちこちにある展望台で大海原を眺めるのもおすすめだ。

そしてなんと言っても離島の魅力の一つは美しい星空。ぜひ一泊して、ケラマブルーの海の後は、都会にはない迫力満点の輝きを味わって日頃の疲れを癒してほしい。沖縄や周辺の島についての情報は「しゅんおき! 旬香周島おきなわ」もあわせてチェックしてみよう。