記念すべき放送8000回を迎えた14日のフジテレビ系のバラエティ番組『森田一義アワー 笑っていいとも!』(毎週月~金曜 正午)。オープニングでタモリがゴスペラーズと「ウキウキWATCHING」を歌いながら登場するなど、お祝いムードではじまったが、番組は思わぬ方向に……。

とんねるず 木梨憲武

29年ぶりに「テレフォンショッキング」へ出演したとんねるずが、いろいろな意味でやらかしたのだ。帝京高校卒業後に出演したオーディション番組『お笑いスター誕生』で「タモリさんだけが絶賛してくれた」エピソードを話していたうちは良かったが、強引にネタ披露タイムをはじめてしまう。

まずは2人が「『11PM』オープニング」という当時のネタを披露し、続けてタモリのネタ「生まれたての子馬」「ハイエナの気持ち」を強要するなど、ここから往年の“やりたい放題”がエスカレートしていく。タモリにかつての決めゼリフ「世界に広げよう友だちの輪!」をリクエストして観客と行い、「明日のゲストは映画『ルパン三世』を撮り終えた小栗旬くんです(本当は安藤優子)」「明日は、みのもんた」とテキトー&暴言連発。結局コーナーは終わらない。

さらに、石橋貴明が「番組はあと2カ月半で終わるけど、なぜ僕たちがレギュラーになれなかったんでしょうか? 」と言い出し、木梨憲武も「レギュラーにしてください! 音声さんでもカンペ出しでもやります。出る側じゃなくていいから」とガチ直訴。「オレにはその権限ないから」とごまかしていたタモリが、あまりの強引さに「あと2カ月半だし、オレが決めちゃってもいいよね?!」と折れかけると……すかさず石橋が「オレたちがレギュラーになってもいいかな? 」と追い込み、タモリの「いいとも!」を引き出した。まさに、電撃&滑り込みのレギュラー奪取。今後は曜日の固定はせず、予告なしでゲリラ出演するという。

とんねるずのマシンガントークに押され、コーナーは大幅に延長。次のコーナーに備えていた中居正広やバナナマン、ローラらレギュラー陣も待ちきれずに乱入、さらにゲスト出演予定のIKKOもなだれ込んで、もう収拾がつかない。結局、次のコーナーがなくなり、『テレフォンショッキング』の歴代最長となる48分22秒の出演時間を記録することになった。

この日のとんねるずは、大物になったせいで影を潜めていた"勢い重視のおフザケ芸"が完全復活。思えば、彼らをスターダムに押し上げ、伝説を作ったのは、『笑っていいとも!』と同じ生放送番組だった。アイドルをえこひいき+ディスりまくった『夕やけニャンニャン』、1500万円のカメラをブッ壊した『オールナイトフジ』の再来なるか。3月の大フィナーレに向かってまだまだ波乱がありそうだ。

「タモリに恩義を感じている」からこそ、「レギュラー番組が減っている」からこそ、とんねるずの動向から目が離せない。

木村隆志
コラムニスト、ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマは毎クール全作品を視聴する重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。