今年101歳で亡くなった詩人・柴田トヨさんの半生を描く感動作『くじけないで』の試写会が11月12日に有楽町で開催され、皇后美智子さまが行啓。共に映画を観賞した後、懇談をした八千草薫、武田鉄矢、深川栄洋監督が、取材に応じた。

左から、深川栄洋監督、八千草薫、武田鉄矢

90歳を過ぎて詩作を始めたという柴田トヨさん。98歳で刊行された詩集「くじけないで」は200万部のベストセラーとなった。晩年のトヨ役を八千草薫が、若かりし日の姿を檀れいと芦田愛菜が演じた。メガホンを取り、脚本も手掛けたのは、『60歳のラブレター』(2009年)の深川栄洋監督だ。

主人公トヨ役を演じた八千草らは、試写会後に、美智子さまと懇談。八千草は「映画を見終わってすぐに『とても良いものを見せていただいた』と言ってくださいました。また、主人が記録映画(1971年製作の『日本万国博』)を撮った時、晩餐会でご一緒させていただいたことについても言ってくださって、うれしかったです」と大感激。トヨの息子役を演じた武田は「競輪で外れるシーンで笑ってらっしゃいました。競輪をご存知なんですね」と興奮気味に話した。

武田は、深川監督と美智子さまとのエピソードにも触れ、「ある意味、老人の映画なので、深川監督の年齢を聞いてびっくりされていました。あの若さでなぜあんな脚本が書けたのか、不思議なようでした」と語った。自身の体験も脚本に織り込んだという深川監督は「実際に『深川家の話を映画にしたようなものです』と言いました(苦笑)。また、柴田トヨさんのことも『とても素敵なお顔をされている』とおっしゃっていました」と感慨深い表情を見せた。

映画『くじけないで』を観賞された皇后美智子さま

さらに、武田は、美智子さまの温かい気遣いについても感動したと言う。「僕たち3人は、(東日本大震災の被災地)石巻に行ったのですが、『柴田トヨさんに似ている八千草さんが登場するなり、みなさんが涙ぐんでらっしゃいました』と申し上げたら、皇后さまは『映画を見る施設は大丈夫ですか?』とおっしゃって。『あそこには映画館があるので大丈夫です』と言ったら、うれしそうな顔をなさいました。復興の速度を心配されていましたね」。

また、武田が、美智子さまが八千草について「いつまでも美しい」と言われていたことを告げると、八千草は、「そんなこと……」と恐縮しながら「皇后陛下は本当に美しい。芯からの美しさというか、やっぱり素晴らしい方でした」と、穏やかな笑みを浮かべた。