見るからにスタミナメニュー! 亀山みそ焼きうどんって?(写真は「亀八食堂」)

三重県中部に位置する亀山市。関東と関西を結ぶ東名阪や国道1号線、新名神などが通る交通の要衝だ。この幹線道路を通るトラックの運ちゃんたちが、大衆焼肉店にてシメに食べていたうどんが、いつしかご当地名物「亀山みそ焼きうどん」として名を馳せるようになったという。今回は、そんなトラック運ちゃんの御用達だったスタミナうどんを調査してみた!

「焼きうどん? ウチにはないよ!」

その前に、まずは亀山みそ焼きうどんの定義を説明しよう。味付けには、いうまでもなく味噌が使われている。基本は赤味噌ベース。そこに、にんにくやごま油、日本酒などをブレンドしている。具材は野菜や肉など様々。それをうどんと一緒に焼いて作るメニューだ。また、亀山みそ焼きうどんは、現在では20店舗以上の食堂やレストランが提供している。

「亀八食堂」は大衆焼肉屋。エリアの元祖と言われる店のひとつである

初めに足を運んだのが、元祖店のひとつと言われる「亀八食堂」。ここは昔ながらの大衆焼肉店だ。テーブルの中央には大きな鉄板がドーンと鎮座している。「焼きうどんちょうだい」そうシンプルにオーダーすると、即答で「焼きうどん? ウチにはないよ!」と言われてしまった。

ええっ!?と思うが更に食い下がると、「だってうちは焼肉屋だ。みんな肉を食べた残り汁でうどんを焼いて食べるけど、うどんという独立メニューはないんだよ」というお答え。

質問していくと、「亀山みそ焼うどん」という名前は、元々は存在していなかった言葉なんだという。つまり、焼肉のシメのうどんを単品化して、そう呼んでいるのだ。昔ながらの店で注文しても、「まず焼肉を食え。そしたらシメでうどんを出すから」ということらしい。

郷に入れば郷に従え。ならば、まずはジュワッと焼肉を堪能しよう。「カルビ」(900円)や「ホルモン」(550円)などを注文して、次々に焼いていく。キャベツや玉ネギなどの野菜もたっぷり投入しよう。ここに自家製の味噌ダレを思う存分加える。食べ進めるうちに、鉄板の中に肉汁と野菜の焼き汁がたまっていく。もちろん味噌のエキスもたっぷり。ここで、お待ちかねのうどん玉(100円)を投入するのである。

焼肉に新鮮野菜を投入。そして、やわらかいうどん玉(100円)もダイブ!

ジュワ~ッと香ばしい音がする中、箸でかき混ぜタレを麺に絡ませる。適度に味を絡めて麺がつるつるになったら食べ時だ。ここで利用されているうどん玉は、スーパーで売られているようなコシのあまりないタイプ。しかし、これがぴったり合うのである。例えるなら、家庭料理のうどんすきか。

「だろ? うどん玉だから、味噌ダレをよく吸い込むんだよ。讃岐うどんみたいな麺だと、こんなに味が染み込まないと思うよ」とニンマリ笑顔になったスタッフ豊田さん。「もう50年もこの味でやってるんだ」という最後の一言に、老舗の自信がみなぎっていた。

●infomation
亀八食堂
三重県亀山市布気町1799

手軽に楽しめる一人鉄板仕様

元祖の味を堪能したところで、次は「うえだ食堂」へ。ここにはみそ焼きうどんの定食があるという。行ってみると、何と一人鍋ならぬ「一人鉄板」で「亀山みそ焼うどん」が登場した。「うちも昔は大きな鉄板でやってたけど、数年前から今のスタイルに変えたんだよ」と言うのは店主の上田武さん。

「今はファミリーや観光客が多いから手軽に楽しめるようにしたんだ」。この店では、「亀山みそ焼うどん」の単品は600円。ご飯と貝汁、冷ややっこのついた定食は900円だ。「味噌はどこも自家製でね。どこも甘がらいけど、それぞれ微妙に味は違うんだよ。その違いをまずは楽しんでほしい」と店主は言う。

「うえだ食堂」の「亀山みそ焼うどん」(600円)は「一人鉄板」で登場

●infomation
うえだ食堂
三重県亀山市北鹿島町2-5

焼きうどんには紅茶が良く合う!?

最後にもう一軒巡ってみよう。口コミで薦められたのは、何と紅茶専門店「アールグレイ」! 「焼きうどんをするようになったのは、5年ほど前からです」と店主の中川栄美子さん。それにしても一体全体どうしてエレガントな紅茶専門店でみそ焼きうどんなんだろう……。中川さんは理路整然と説明してくださった。

「実はお味噌は発酵食品でしょう。紅茶も発酵です。チーズも発酵。発酵食品同士なので不思議とマッチするんですよ」。はあ……。ロジカルに言われてみれば確かに。この店の味噌ダレは10種類以上の素材を入れて、甘さの中にもピリリとしたと辛さも強調しているとか。うどんの上にはチーズが乗って洋風で実に上品だ。

しかし食べてみるとびっくり! 今までの店とうどんの麺が全く違うのだ。「そうです。三重県産の伊勢うどんを使ってるんですよ」。麺が太くもっちもちしている今までにない食感。「よく合うでしょ?」と中川さん。この店の「亀山みそ焼うどん」は1,200円。

もちろん、食後には芳しい紅茶が付いてくる。中川さんいわく、「亀山は昔、紅茶の大生産地だったんです。だから亀山みそ焼うどんとセットで亀山紅茶もアピールしたいですね」。確かに、無理やりこじつけた感は全くないのだ。言われてみれば味噌味でこってりした口に、食後の爽やかな紅茶はすばらしくマッチするのである。

アフターヌーンティーも味わえる「アールグレイ」の「亀山みそ焼うどん」(1,200円)にはチーズがとろ~り

●infomation
紅茶専門店 アールグレイ
三重県亀山市関町木崎512

以上、ざっと駆け足でめぐった、亀山みそ焼きうどんの旅。いかがだったろうか? 今回は地元での口コミを参考に3店舗を取材したが、この地域にはまだまだ、隠れた亀山みそ焼きうどんの名店が数多くあるという。是非現地を訪れて、あなただけのお気に入りの一店を発見してみてほしい!