第5章 Windows 8.1の改良点/システム全般 - Windows 8.1がサポートするデバイス群

MicrosoftがWindows 8.1をどのようなOSに位置付けているのか知る方法として、一番わかりやすいのが下記の図である。アプリ&サービス担当ゼネラルマネージャーであるRyan Gavin(ライアン・ギャビン)氏が「Windows Experience Blog」に投稿した記事へイラストを掲載し、「20以上もの改良したデバイスやアプリケーション、サービスと連動してWindows 8.1を楽しめる」と説明が加えられている(図150)。

図150: Windows 8.1と連動するサービスやデバイスをイラスト化したもの(公式ブログより)

この図では示されていないが、Windows 8.1は多くの注目を集めている3Dプリンターや、対応するプリンターにデバイスをかざすだけで印刷を実行するNFC(近距離無線通信)、無線LAN経由でデバイスドライバーのインストールなどを自動的に行い、プリンターを利用可能にするWi-Fi Directワイヤレス印刷、ディスプレイ出力を無線LAN経由で送受信するMiracast(ミラキャスト)ワイヤレスディスプレイなど、多くの新技術にネイティブで対応。これらに対応するデバイスを集めることは難しいものの、今後登場する新デバイスを利用する際はWindows 8.1が必要となるのは確かだろう(図151)。

図151: Windowsストアアプリの3D CADから3Dプリンター経由で造形を実行しているシーン(「3D Printing Support in Windows 8.1 Explained」の動画より)

Windows 8.1のシステム要件は第2章で触れたが、その一方で紹介しておきたいのが、Windows Hardware Certification Requirementsである。直訳すると"Windowsハードウェア認定要件"となる同ドキュメントは、Windows OSが正しく動作するハードウェアおよびデバイスドライバーの構成を定めるもので、安定動作やハードウェアベンダーが発売するコンピューターの構成に欠かせないものだ。エンドユーザーには関係ないが、逐一更新される同ドキュメントを見ると、Windows 8.1がサポートするデバイスがより確かになる(図152)。

図152: Windows 8.1がサポートするハードウェア構成(「System Requirements」より)

「Windows 8.1 System Update」と書かれた変更点で気になるところだけピックアップすると、指紋認証リーダーを事前にサポートし、対応するデバイスを備えたコンピューターの場合、そのまま利用可能になる。GPUはWDDM(Windows Display Driver Model)1.3に対応したGPUが"必要"と言う記述が加えられた。WDDM 1.3に関してはDev Centerの情報.aspx)で詳しく述べられているが、かいつまんで説明すると、GPUエンジンを列挙して利用可能する機能や、統合GPUと別のGPUを利用するハイブリッドシステムの追加、前述したMiracastのサポートやマルチプランオーバーレイ、Direct3Dレンダリングパフォーマンスの改善が行われると言う。

ストレージに関しては、SATAハイブリッドHDDのサポートを明らかにしている。同ストレージはフラッシュメモリをキャッシュ領域として利用可能にすると言うものだが、Windows 8.1ではハイブリッドHDD(および類似ストレージ)を当初からサポートすると言う。その他にも無線LANデバイスとして公称速度6.9ギガビット/秒の802.11acをサポート。今回は2013年9月17日(現地時間)に更新された「System Requirements」を元に機能を紹介している。

さらに来年の2014年1月1日以降は、ビデオチャットの利用環境を向上させるため、内蔵スピーカーやマイクに新しい通信忠実性(InAir)や、コンピューターがスリープモードの際も30秒に1回の通信を可能にするConnected Standbyに、ディスプレイのネイティブな解像度で少なくとも6時間のビデオ再生を可能にするシステムと、OSレベルでステータスの取得が可能な冷却ファンを必要とするConnected Standby Powerを追加。さらに、720p以上の解像度を持つWebカメラもリクエスト要件に加えられている。

このあたりはWindows 8.1以降の話となるので割愛するが、少なくともWDDM 1.3対応デバイスドライバーとして、AMD Catalystを早々にリリース済み。NADIAもGeForce 326.19からWindows 8.1をサポート対象に加え、9月19日にリリースされたバージョン327.23では、WDDM 1.3をサポート済み。なお、筆者の環境では統合GPUとしてIntel HD Graphics 4000が動作しているが、そちらもWDDM 1.3に対応済みだった(図153)。

図153: DirectX診断ツールで確認すると、WDDM 1.3に対応済みであることが確認できる

その一方でWindows 8.1はDirectX 11.2を搭載している。開発環境の改善や性能向上などが中心となり、特段新しい機能が加わるわけではないので、今回は詳しく述べることは控えることにした。興味をお持ちの方はMSDNのDirectX programmingをご覧いただきたい。現時点で次期バージョンがリリースされるのかなど、今後の進展は不明ながらも、Windows 7にDirectX 11.1は部分的にしか提供されないことは、以前から公式ブログ記事で明言されており、DirectX 11.2はWindows 8.1と同社のコンシューマー機Xbox One専用になることは確実だ。