『機動警察パトレイバー』押井守監督が完全新作で実写化、泉野明役に真野恵里菜

1988年に公開され、漫画・アニメ・小説とメディアミックス作品の先がけとして大ヒットした『機動警察パトレイバー』の実写版プロジェクト『THE NEXT GENERATION -PATLABOR-』の製作発表会見が25日、千葉県内で行われ、主要キャストが明らかになった。

左から押井守総監督、筧利夫、真野恵里菜、福士誠治、太田莉菜、千葉繁

本プロジェクトは、総製作費20億円がかけられ、2013年6月27日にクランクインし、現在撮影の真っ最中。12月末にクランクアップが予定されている。総監督には、当時のアニメシリーズの押井守監督を迎え、約48分のシリーズ全12話と約100分の長編作品となる。シリーズ12話は劇場上映用の全7章構成となり、2014年4月より順次イベント上映はスタート。長編作品は2015年の公開が予定されている。製作は東北新社が担当し、今まで培ってきた知見や技術、そして、最新CG/VFX技術の向上により、今回の実写化を決定したという。。会見では、二課棟の一部や全長8mの実物大「98式イングラム(パトレイバー)」が披露され、作品の世界観を完全に再現したステージでさまざまな発表が行われた。

発表会には、特車二課の1号班操縦担当する主人公・泉野明役の真野恵里菜、塩原佑馬役の福士誠治、カーシャ役の太田莉菜、シバシゲオ役の千葉繁、後藤田継次役の筧利夫、そして押井守監督が登壇。25年を経て実写化を果たす本プロジェクトの意気込みをそれぞれに語っていった。

「僕が例によって名前だけ出して逃げちゃうんじゃないかって思われがちだけど、まじめに監督しています」と切り出した押井監督は、今回の実写化について「劇場アニメ『パトレイバー2』が終わったあたりから、次やるなら実写だと思っていました。実際に実写化の話もありましたが、もろもろの事情でダメでした。今回の実写化の話は僕が考えている通りだったので、やるしかない。この機会を逃したら一生できないと思いました」と、プロジェクト始動の経緯を説明。実物大レイバーについては「作ってみたかった。CGで全部やっちゃうという話もあったが、かなり強引にお願いして、実寸大を2体作ってもらいました」と話し、3代目として世代交代した登場人物については「先代はアニメで十分活躍したから、新しいものとして作ってみたかった。25年間応援してくれたファンとも向き合うためにも必要な設定だったと思います」と、朴訥ながらしっかりとした口調で本作への意気込みを語った。

東北新社本社ビルの実物大レイバー

泉野明を演じる真野は、台本のキャスト名にある自分の名前を見て涙が出そうになったという。「『機動警察パトレイバー』は、私が生まれる前に誕生していて、多くの方に愛されている作品ということで、今回この泉野明の役をいただいて、最初は正直不安でいっぱいでした。こうしてこの役に出会えたのも何かの縁だと思って、一生懸命がんばりたいです」と、自分にしかできない泉野明を演じると宣言。

続いて「今までいろんな警察官を演じてきたが、こんなに勤務中にだらけた警察官を演じるのは初めて」と語った塩原佑馬役の福士は「こんなにスケールの大きな作品に出会うのも初めてなので、監督と話し合いながらとても面白く作品を作っています」と撮影の様子を話しながらも、自身の役について「指揮担当として指揮車に乗れるということで、正直、レイバーに乗りたいなとは思っていたのですが……」とレイバー搭乗への未練を吐露した。

アクション監督に指導を受けながら、撮影前にかなりの準備期間を要したというカーシャ役の太田は、「ロシアから特車二課にやってきた留学生で、陰険なロシア女という役どころです。現場でいつも特車二課をバカにして、整備員をたぶらかしたり、常にタバコを吸っていたりする、そういった楽しい役です」と、自身の役柄を紹介。今後の撮影への期待に胸を弾ませていた。

アニメシリーズでも声優として参加していたシバシゲオ役の千葉繁は、「整備班長に昇格し、僕が整備班を仕切ることになり、重圧を感じながら、日々、叫びまくっています。役作りは一切していません」と、押井監督から「好きにやって」と言われており、長年この作品に関わってきた互いの信頼関係を伺わせてくれるコメントを寄せた。会見中、終始ハイテンションだった後藤田継次役の筧利夫は、「私が言いたいことはただ一つ。私が隊長です、誰にも文句は言わせません!」と一喝。「私は後藤田継次であり、後藤喜一ではありません! 私なりの"昼行灯で実は切れ者"という役どころを演じさせていただきます。損はさせないぞぉ!」と会場を笑わせながらも、作品への期待感を煽っていた。