箱根登山鉄道は5日、新型車両3000形の車両デザインおよび概要を発表した。同社の新型車両は1989年以来、25年ぶりだという。営業運転開始は2014年11月頃の予定。

箱根登山鉄道の新型車両3000形の車両デザイン(イメージ)

同社が検討を進めてきたという新型車両については、昨年5月に行われた小田急箱根ホールディングスの記者発表会の中でも、外観のラフスケッチが公開されていた。今回発表されたデザインイメージに関して、「イメージカラーの赤系の色彩を基調に、箱根の自然にマッチした外観」と同社。デザインコンセプトを、「伝統と現代性をあわせ持ち、箱根の風景に溶け込むデザイン」と説明している。

車両デザインを手がけたのは、小田急ロマンスカーVSE(50000形)・MSE(60000形)にも参加した岡部憲明氏が代表を務める岡部憲明アーキテクチャーネットワーク。箱根の自然景観を車両の四方から取り込めるように、車両前面に大型ガラス、側面に上下に大きく広がる展望窓を配置した。外観には、日本の伝統色であり、箱根の自然にもマッチする深い緋色や茜色をベースに、イメージカラーとして「バーミリオンはこね」を採用。車両前面・側面に配したシルバーで、登山電車の力強さとメカニカルな印象を表現している。

「箱根旅行の楽しさ」を演出すべく、車内も箱根の自然をより効果的に見せる内装デザインに。座席や床は赤を基本に暖色系を中心とした配色となり、テーブル席の窓台や大型テーブルには明るい色調の強化木を使用した。その他、箱根登山電車初となるVVVFインバータ制御で使用電力を削減し、室内照明や前照灯にLED照明を採用するなど環境対策を進める。強羅側の乗務員室後部に車いすスペースも設置する。

3000形の車両断面・平面図(イメージ)

3000形の車両内部(イメージ)

新型車両3000形は1両固定編成(編成長約14.0m)で2両製造され、総製作費(2両分)は約8億円。現時点で2014年4月に竣工、同年11月からの営業運転開始を予定している。