各ソフトごとに独自のタッチ向け機能を用意

Office全体のタッチ機能に加え、さらに各ソフトにも独自のタッチ操作向け機能が用意されています。たとえばWord 2013に用意されている「閲覧モード」を使うと、タブレットで見るのに適した状態で文書が表示されます。

Word 2013の閲覧モード。タブレットを手にした際に両手の親指でページを送れるよう、画面の両端にボタンが配置されています

またWindowsストアアプリ版の「OneNote(旧「OneNote MX」)」では、タッチ操作でさまざまなコマンドが利用できるリングメニューが用意されています。現在のところWindowsストアアプリ版のOneNoteでのみ利用可能で、デスクトップ版のOfficeには用意されていません。

Windowsストアアプリ版「OneNote」が採用するリングメニューインターフェース。円状のメニューを操作することで、さまざまなコマンドを実行できます

文書閲覧や簡単な修正にはタッチ機能は最適 !

新しいOfficeのタッチ関連機能についてかなり細かい部分まで取り上げましたが、それだけタッチ対応という点に労力をかけて開発されていることがわかるでしょう。おそらく今回紹介した以外にも、まだ新しい機能が隠されているはずです。また今後のアップデートにより、新たな機能が追加される可能性もあります。

今回Officeをタッチ操作で使ってみて感じたのは、マウスに比べて直感的に操作できるという点です。マウスを使っていると「キーボードからの持ち替え」→「カーソル移動」→「クリック」という流れで操作を行ないますが、タッチ操作では目に見えている部分をタッチするだけ。ダイレクトに操作できるぶん、タッチのほうが操作を手早く行なえるでしょう。

またズームやスクロールの操作は、圧倒的にタッチ操作のほうが便利です。マウスではスクロールバーやホイールボタンを操作するのが面倒ですが、タッチ操作ではスワイプやピンチといった操作で手軽に行なえます。文書をフルスクリーンで閲覧するという状況なら、タッチ操作がベストと言えます。

しかし、長い文書の作成には向いていません。たとえばキーボード主体で使っている人なら、タッチ操作を行なうよりもショートカットキーを使ったほうが速いでしょう。いくらマウスに持ち替える必要がないと言ってもキー入力中にディスプレイに触れるわけですから、いくぶんか時間がかかってしまいます。PC上級者であるほどタッチ機能のメリットは少ないと言えるかもしれません。

また凝ったレイアウトの文書を作る場合は、位置を細かく調整できるマウスのほうが有利です。指でオブジェクトや選択範囲をドット単位で動かすには相当な慣れが必要ですが、マウスならそれほど難しくはありません。タッチ操作はどちらかと言うと書体やキーワードの修正向きで、文書を一から作ったり大幅に修正するのには向いていないのです。

以上のように考えると、「タッチ対応でOfficeは便利になったのか」という問いに対しては、「初心者にとっては簡単になった」と答えるべきかもしれません。中~上級者に関しては「文書を閲覧するには便利」といったところでしょうか。長文や凝ったデザインの文書を作るには、まだマウスとキーボードの組み合わせに軍配が上がります。ただしアップデートによって使い勝手が変わる可能性もありますので、今後の展開に期待したいところです。