AKB48の2012年を追ったドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?』が、2月1日から全国公開をスタートする。前田敦子の卒業、次のセンターは誰か? などAKB48にとって激動の一年となった2012年を、グループ最年長で精神的支柱の"麻里子"こと、篠田麻里子に振り返ってもらった。

篠田麻里子(しのだまりこ)
1986年3月11日生まれ。福岡県出身。身長168cm。A型。2006年にAKB48に加入。2008年からファッション誌「MORE」の専属モデルを務め、翌年の総選挙では3位に。2011年のじゃんけん大会で見事優勝し、「上からマリコ」で初のセンターを務めた。翌年11月、新チームAのキャプテンに指名される。
撮影:石川信介(Sketch)

――AKB48にとって2012年は激動の1年でしたね。

毎年、早く感じるんですけど、2012年もすごく早かったです。今まで振り返ってみて、一番あっという間だったかなと思うくらい、早くて濃厚な1年だったなと思いますね。

――年を追うごとにそう感じていますか?

毎年そうなんですけど、例えば3年前でいうとAKBが売れはじめてきた感覚があった1年でしたし、その次の年はとりあえず楽しかった1 年でしたし、その次は楽しさもあり、きつさもあり。2012年は夢のドームを実現しつつも、やっぱりあっちゃん(前田敦子)が卒業した後で不安もあって、それぞれいろんな要素の不安を感じた年だったなと思います。

――前田敦子さんがいたAKB48と、前田敦子さんがいないAKB48。変化した部分はありましたか?

変わっていないといえば嘘になるかもしれませんけど、いつもあっちゃんがいたAKBではないので…例えば個人の仕事や歌番組で、あっちゃんがいなくてもやっていたこともありました。絶対的存在の人がいなくなったわけではないので、感覚としてはそんなに変わってないと思っていたんですけど、秋元(康)さんが言う『エース』がいなくなったというのはすごく感じました。次はこの人、というふうにはなかなか…。でも、ほかのメンバーもいますし、あっちゃんだけがAKBじゃないですから。

――メンバーの方はもちろんそうだと思いますが、われわれマスコミにとっても前田敦子さん卒業後のAKB48が楽しみでもあり、心配でもありました。

そうかもしれませんね。なるようになったという感じはしますけど、これからはそのエース的な存在がポンッと出てきてほしいなと思います。あっちゃんはいきなりポンッと出てきたわけではないですけど、秋元さんをはじめファンの方々の応援やメンバーの存在があって"前田敦子"というものが作り上げられたと思うんです。だからまたそういう存在が出てきてくれればいいなと思います。

――篠田さんといえば、昨年末に新チームAのキャプテンに就任されましたね。8月の東京ドーム公演「AKB48 in TOKYO DOME ~1830mの夢~」での発表時、ステージ上で必死に拒む姿が意外でした。

嫌か嫌じゃないかと言われれば、嫌でしたね(笑)。一昨年くらいでしょうか、AKBにキャプテンという制度ができたのは。もともとキャプテンという制度がないAKBが好きでしたし、『年上がキャプテン』というイメージは好きじゃありませんでした。キャプテンというものを作るとその人に絶対的な権限があるような状態になってしまいそうで、それがすごく嫌だったんです。

私がそんなふうに思われるのも嫌だったので、キャプテンはやりませんと周囲にも言ってたんですよ。あの日、突然発表されて舞台上では笑っていたんですけど、本気で嫌で。裏では泣いて嫌がってました(笑)。(高橋)みなみの大変さも知っていたし、何かにつけてキャプテンがキャプテンがと言われて責任を背負うことも嫌でしたし、責任感はありますけど自分からはそれ以上背負いたくない、というか。そんなに私に頼らないでよ、みたいなところがあるから(笑)。

――キャプテンになって数カ月経ちましたが、いかがですか。

うーん…やる前とはキャプテンというポジションの印象が変わりましたね。今までは"篠田麻里子"として、自由に何か決めるときも一言くらいしか発しませんでしたけど、決めるときにみんなに「どう?」って聞いて回らないければいけないですし、しかもそれを自分がまとめないといけない。もちろん自分でもやらなければいけないこともあるから、やるべきことが増えたという感じで(笑)。でも、自分でやってよかったなと思えるようなチームにできたらなと思います。

――第1弾や第2弾のドキュメンタリー映画でも、キャプテンの活躍や進退を巡ってメンバーが涙する場面がありました。本当の意味での魅力に気づくのはもう少し時間が必要なのかもしれませんね。

そうですね~。今までのチームのメンバーは、顔見知りというか付き合いが長いメンバーがそろっていたと思うんですけど、今はどちらかと言うと、新しいチームに自分とみなみが入ったみたいな感覚です。今までは支えてくれるような2期や3期のメンバーがたくさんいたんですけど、今は10期前後くらいの若手メンバーが多いですから。向こうとしてもきっと距離感があるでしょうし、こちらもそれをどう縮めていくかが課題です。いろいろ知っていきたいんですけど、自分がもし逆の立場だったら怖いだろうなぁと思いつつ…だからキャプテンって嫌だったんです(笑)。キャプテンになるのはみなみくらいの年代がちょうどいいと思うんですけどね。……続きを読む。