1991年、日本でジェード社がスキャンワクチンをリリース。米国マカフィー社とは、当時まったく関係がなかった。1997年にマカフィー社がジェード社を買収し、現在の源となる。2001年からは、ソースネクストを代理店とし、同社ブランドでマカフィーウィルススキャンを販売。2003年に、日本法人が組織され、マカフィー製品を直接販売するようになった。セキュリティベンダーとしての規模は、世界でもトップレベルにある。企業向けのWeb Filtering、SPAM対策、侵入防止、情報漏洩対策、暗号化などの製品などでも多くの実績を持つ。モバイル端末向けにはVirusScan Mobileがあり、NTT DocomoやSoftbank Mobileなどに搭載されている。2011年にはインテル社の傘下となり、その後、CPUのVT技術を応用したDeep Defenderという、ルートキット対策ソフトウェアをリリースしている。OSより先に起動し、OSより深いレベルで監視を行なうのが特徴である。

製品ラインナップ

コンシューマ向けの製品は、以下の通りである。

  • マカフィーオールアクセス2013
  • マカフィートータルプロテクション2013
  • マカフィーインターネットセキュリティ2013
  • マカフィーアンチウイルスプラス2013
  • マカフィーモバイルセキュリティ
  • マカフィーウェイブセキュア
  • マカフィーインターネットセキュリティ2013 Mac版
  • マカフィーファミリープロテクションMac版
  • Windows用、モバイル用、そしてMac用と、多岐にわたる。それぞれに複数年、複数台といったライセンスが用意されている。マカフィーオールアクセス2013(以下、オールアクセスと略記)は、Windowsだけでなく、モバイル、Mac用も同梱し、1ライセンスでデバイスの数の制限がない。まさに、最近の傾向に合わせた製品である。Windows用は機能によって、3つの製品に分類される。トータルプロテクションとインターネットセキュリティの違いは、保護者機能の有無である。アンチウイルスプラスは、その名の通り、ウイルス対策をメインにした製品である。

    評価の際も触れたが、今後はPCよりもモバイルデバイスがメインとなる製品体系に移行すると思われる。しかし、PCしか所有しないユーザー、スマートフォンしか所有しないユーザーも存在する。それまでは、個々のデバイス状況に応じた対応が必要になるので、ラインナップも多めとなるのであろう。購入にあたっては、Webサイトで機能比較を確認し、適切な製品選択が必要となるだろう。

    マカフィーオールアクセス2013

    ここでは、Windows用の機能を紹介したい(ほぼ、トータルプロテクションと同じであるが、年齢別詳細インターネットアクセス設定が追加されている)。また、2012年11月にオールアクセスの機能強化が図られた。それを踏まえて、オールアクセスの基本的な機能を紹介しよう。まずは、ホーム画面である。

    図28 ホーム画面

    強化前は、一覧形式であったものが、タイル風の画面となり、タッチパネルに対応するようになった(Windows 8のみ)。機能強化された1つが、脆弱性スキャナーである。ホーム画面の右の[設定・機能等一覧]をクリックする。機能の一覧から[脆弱性スキャナー]を選ぶ。実際にスキャンを実行中なのが、図29である

    図29 脆弱性スキャナー実行中

    Windowsとアプリケーションの更新の有無がチェックされる。実際に更新が必要なものがみつかると、図30のように表示される。

    図30 更新を発見

    あとは、[更新をインストール]するで、自動的に更新作業が行われる。もう1つ、見ていて興味深い機能を紹介しよう。脅威マップである(図31)。

    図31 脅威マップ

    [攻撃者]では、世界で最も活発に活動を行っている攻撃者が表示される。点をクリックすると、ハッキングの追跡に使用したIPアドレスなども表示される。点が大きいほど、多くの攻撃が発生しており、色が赤くなるほど、危険度が高い。地図の下には、世界でもっとも活発に活動している上位5人の攻撃者の一覧が表示される。

    図32 攻撃者の上位5人

    Firefoxユーザーならばマカフィー?

    まずは、評価項目の結果であるが、満点でしかも、他社製品から優位を保ったのは、Webブラウザへの対応度であった。Firefox 17で、検索結果の安全評価ができたのは、本稿を執筆時点で、マカフィーのみであった。検索結果の評価機能は、SiteAdvisorと呼ばれ、マカフィーが古くから提供している(セキュリティ対策ソフトとは独立しており、フリー版もある)。まさにその面目躍如というところであろうか。

    機能面に目を向けると残念ながら、やや物足りない結果となった。特にスキャン速度に関しては、1回目の遅さがめだつ結果となった。2回目以降は短時間で終了したので、普段の利用ではさほど負担を感じることはないかもしれない。他の機能についても、他社の製品と比較して、大きく差別化できるようなものはないが上述したように、Deep Defenderなどの独自技術もあるので、今後そのような機能の実装が期待される。