ESET:ESET Smart Security V5.2

ESETは、スロバキアのセキュリティ対策製品を開発・販売するIT企業である。日本では、キヤノンITソリューションズが代理販売を行う。ESETの創立は1992年であり、アンチウイルス製品のNOD32アンチウイルスを初出荷したのは1987年である。日本でお目見えしたのは、2003年となる。ESETでは、遺伝子技術を応用したアドバンスドヒューリスティック機能を開発し、最新のパターンファイルでも対応していない新種・亜種のウイルスも防ぐ機能を有する。2005年に価格情報のポータルサイトで、未知のウイルスをヒューリスティック機能で検知・ブロックしたことで、有名となる。

製品ラインナップ

ESETでは、以下の製品ラインナップを展開している。

  • ESET Smart Security V5.2
  • ESET NOD32アンチウイルス V5.2
  • ESET Cybersecurity V4.1
  • ESET Mobile Security for Android

ESET NOD32アンチウイルスは、ESET Smart Security V5.2から迷惑メール対策、不正侵入対策などを除いた製品である。ESET Cybersecurityは、Mac OS X用のウイルス対策ソフト、ESET Mobile SecurityはAndroid用のセキュリティ対策ソフトである。ラインナップは、それほど多くはない。現在、25周年記念パックが販売されている。ESET Mobile Securityが同梱している。2年または2台と3年の2種類のパッケージがある。安価な価格設定になっているので、Android端末を持っているのであれば検討したい。

ESET Smart Security V5.2

ESET Smart Security V5.2(以下、Smart Securityと略記)は、やはりメインの製品という位置付けである。その機能を簡単に紹介しよう。まずは、ホーム画面である(図8)。

図8 ホーム画面

現在の保護状態などが、表示される。ウイルススキャンなどの[コンピュータの検査]では、スマート検査とカスタム検査の2種類がある。

図9 コンピュータの検査

[設定]メニューも非常にシンプルである。

図10 [設定]メニュー

基本的に有効か無効かを選択するだけである。Smart Securityでは、不正侵入対策としてパーソナルファイアウォールが導入されている。もちろん、ユーザー自身で設定を行うこともできる(図11)。

図11 詳細設定

図4にもあるように、すべてのユーザーに最適化されており、あえて変更する必要もないであろう。しかし、上級者には、これらを使い、設定を変えることもできる。そして、覚えておきたいのが、[ツール]メニューである。

図12 [ツール]メニュー

レスキューCDの作成やESETへ分析を依頼する際の提出ファイルを自動作成してくれる機能などもある。トラブルが発生する前に試しておきたい機能である。

機能が絞り込まれたSmart Security

5種類の評価では、おおむね平均的な結果となった。他の製品と比べ見劣りするのは、検索結果への安全評価機能を実装していない点であろう。Smart Securityは、総合セキュリティ対策ソフトという位置付けではあるが、他の製品のように、バックアップやPCのチューニングといった機能はない。検索結果の安全評価もこれらと同じ位置付けと思われる。あえて基本的な機能に絞り込んでいるともいえる。

たとえば、バックアップならば、自分好みのバックアップ方法もあるだろう。すでに、愛用のバックアップソフトがあるならば、ESETのようになくてもなんら問題とならない。しかし、持っていないユーザーに同梱されているほうがお得とも感じられる。どちらがよいとは単純には決められないだろう。セキュリティ対策ソフト選ぶ際には、このあたりも検討したい。

かつては、ウイルス定義ファイルもコンパクトで負荷の少ないとの評価が高かった。しかし、増大する脅威に対し、やや負荷は高くなってきたようだ。この傾向は、Smart Securityに限ったことではない。また、上述の絞り込まれた機能とも関連するが、アンチウイルス専用のESET NOD32アンチウイルスも、選択肢として十分考えられるだろう。