本製品では豊富でユニークな炊飯メニューが魅力だ。「すしめし」「しゃっきり」「ややしゃっきり」「ふつう」「ややもちもち」「もちもち」「玄米」の7段階の食感に炊き分けられるほか、「かまど極め」「熟成炊き」「おかゆ」「おこわ」「湯の子」「極め炊きこみ」「雑穀米」「雑穀米がゆ」のメニューと、蒸気を80%抑えて炊く「蒸気セーブ」、消費電力を抑えて炊く「エコ炊飯」、圧力センサーで圧力を調節して高速で炊く「白米特急」「白米急速」といった機能面を重視したバラエティに富んだ炊飯コースが用意されている。

液晶表示画面。左下の「お米選択」で米の種類を選んだ後、炊飯コースを選ぶ。白米メニューだけでこれだけ充実っぷりで、それだけでも心がちょっと踊る

炊飯を開始すると、炊き上がりまでの時間を表示(写真は「湯の子コース」の場合)

中でも、筆者の個人的なお気に入りは、「かまど極めメニュー」。釜の底はパリっと、内側はふんわりと香ばしい本物の釜で炊いた釜飯のような風味豊かなご飯が炊き上がり、おかずがなくてもそのままおにぎりだけでも十分、何杯もお替りしてしまうほどのハマりっぷりだった。

炊き上がり直後にフタを開けた状態。「白米・ふつうコース」で炊いてみた

「白米・ふつう」の炊き上がり状態。お米の香りがしっかり封じ込まれたような香ばしさがあり、飯ごう炊飯などアウトドアで炊いたご飯を思い出させる炊き上がり

24時間保温後の状態。硬さやにおいにはさほど変化を感じなかったが、水分が抜けた感じがちょっと気になった

さらに、内釜に残ったおこげに水を足しおかゆにして食べる昔ながらのメニューを炊飯器で再現する「湯の子」コースもユニーク。「熟成炊き」コースは、予熱時間を通常よりも延長し、お米にゆっくりと吸水させることによりα化を促進し、甘み成分を約2.3倍に引き出して炊飯できるというもので、あらゆる好みのニーズに応えてくれるのはもちろん、日本の米文化を気軽にいろいろ試せるのが楽しい。時短コースにあたる"白米特急メニュー"では、0.5~4合を約14~23分という速さで炊き上げることが可能で、こちらも十分な実力だ。

時間をかけて甘みを引き出して炊く「熟成炊き」のご飯。確かにご飯にしっかりとした味があってふつうコースよりも瑞々しい

かまど炊きのような"おこげ"をつくって炊ける"かまど極め"コースで炊いたご飯。パリパリとした香ばしいおこげが釜底にできていて、おこげ好きにはたまらない

残ったおこげに顆粒出汁と水を加えて「湯の子」コースで炊飯

香ばしさが残るおかゆに生まれ変わった。出汁におこげの香りが移行していて何とも言えない深い味わいのおかゆになった

内釜の計量メモリは、白米、エコ炊飯・すしめし・蒸気セーブ、玄米の3種類。お米の種類が同じであれば、すしめしとエコ炊飯、蒸気セーブ以外の白米のコースは全部同じ水加減で炊ける

「玄米活性」コースで玄米を炊飯。玄米を活性化させ栄養価を高めて炊飯するコース。玄米が活性化することにより栄養素の一つであるギャバの量が元の玄米より増加し、柔らかく食べやすくなる効果があるそうだ。一定の温度で約2時間維持して活性化を図る過程があるため、炊き上がりまでは3時間~3時間40分程度掛かる

家庭用品品質表示法に基づく年間消費電力量は76.3kWh、1回あたりの炊飯時消費電力は143Wh、1時間あたりの保温時消費電力量は15.5Whと、他の製品と比較して消費電力は優位でも劣勢でもない全体的に標準的な数値。

サイズは、幅29cm、奥行42cm、高さ22.56cmと、高さが低めで奥行きがある印象。縦横が幅を取るため、収納性でやや難ありだが、口が広いすり鉢状の形状の内釜のデザインを考えると、コンパクトに収めづらいのは納得がいく。

重量は約8kgと平均的だが、内釜の重量(実測値)が1856gあり、さすがのボリューム感だ。しかし、羽釜を模した構造と重厚な素材が一番の特徴である本製品では少々目をつぶらざるを得ないポイントなのかもしれない。

全体を通した評価は、個性が光るこだわりの炊飯器。おいしいご飯と炊き分けによるご飯文化を楽しみたければ、サイズ感など少々妥協を許してでも本製品を選びたくなる。

本製品は発売前のため、試作段階のデモ機をメーカーよりお借りして試用しております。そのため、製品とは異なる場合もありますのでご了承ください。
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