続いて、文字入力の操作と画面を見ていこう。文字入力の方式として、ITS入力方式とケータイ入力方式の2種類が用意されている。両方を試してみたが、ITS入力方式は画面上のソフトウェアキーボードがQWERTY配列ではないので、まずはキー配列を覚えるところから始めなければならない。ローマ字入力しようにも、タッチ回数が多くなってさすがに扱いづらい。

独自のキー配列となるITS入力画面。見慣れないキー配列だけに、スムーズに使えるまでには慣れが必要

もう一方のケータイ入力方式は、「1」キーを押した回数で「あいうえお」など、その名の通り携帯電話ライクな入力方式だ。こちらは慣れている人が多いと思う。筆者もストレスなく操作できた。実際の携帯電話と比べて、ソフトウェアキーボードの文字配置や機能に若干の違いはあるものの、操作自体は携帯電話とほぼ同じなので、大きな違和感はないはずだ。検索ワードや短い文章の入力なら、それほど苦にはならないだろう。

OPAirのユーザーインタフェース

OPAirのケータイ入力

携帯電話に慣れているなら、ケータイ入力が断然使いやすい。4×4のボタン配置という制限のなかで、うまくキーが割り振られている

文字を入力して変換を押すと表示される変換メニュー。候補を絞るときに使うが、慣れるまでは複雑に感じる

上部中央の機能ボタンを押すと表示される画面。「Shift」を使った範囲指定や、コピー、ペーストなど、応用の利くキーが並んでいる。「Ctrl」や「Alt」などのソフトウェアキーがあればなお良かった

なお、日本語IMEは、Windowsにインストールされたものを利用する。OPAirが提供するのは、あくまで文字入力のインタフェースだ。今回試したところでは、Windows 7が標準で備える「Microsoft IME」でも、ジャストシステムの「ATOK 2010」と「ATOK 2011」でも、文字入力と日本語変換に問題はなかった(OSはWindows 7 Professional SP1 64bit版)。ただ、別のノートPC(Windows 7 Home Premium SP1 64bit版)では、ATOK 2010とATOK 2011で、OPAirから「日本語かな入力」しかできない現象が発生した(ローマ字入力ができない)。明確な再現性は分からなかったが、あくまで今回の試用に限った話題として述べておく。

親指の爪が少し伸びた状態なら、爪と指の間でボタンを引っ掛ける感覚で押すと多少は入力しやすい。でも指が大きいと、やっぱり押しづらいのだ

文字入力(というより操作全般)で気になったのは、タッチポイントのボタンサイズだ。ボタンがかなり小さいため、押すべきボタンを正確に押しづらい。文字入力では16個のボタンを個別に押す必要があるのだが、ボタン間隔が狭く、目的のとなり(上下左右)のボタンを押してしまうことも多かった。どのボタンに触れているかは画面上にリアルタイムで反映されるものの、押し込むときにずれやすい。手が小さい筆者でもそうなのだから、手が大きい人はなおさらだろう。個人的には、本体サイズがもう少し大きくてもよかったので、せめて携帯電話くらいのボタンサイズが欲しかった。

慣れてしまえば便利な入力デバイスに早変わり

ややハイテンションで使い始めたOPAirだったが、マウス操作はともかく、完全にキーボードの代わりにするのは無理がある。それでも、マウスとキーボードは用意しつつ、ゴロ寝でPCを使うための第3のポインティングデバイスとして悪くはない。リビングの大画面テレビとその近くに置いたPCなど、自分が普段いる場所から離れた位置にPCがあり、そこに保存された動画を大画面テレビで再生したり、Webブラウズくらいなら全然アリだ。

あとは使いこなせるようになるまで、使い続けられるかどうか。その壁を越えられれば、便利な入力デバイスとして役に立ってくれるに違いない。