スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は29日、ギリシャの長期ソブリン格付けを「BB+」から「BB-」に引き下げた。同格付けは2010年12月2日以降、格下げ方向で「クレジット・ウォッチ」(CW)に指定されているが、CWを継続した。

同時に、短期ソブリン格付け「B」を格下げ方向でCWに指定。長期優先債券(サムライ債を含む)をはじめとする個別債務格付けも、それぞれ格付けアクションの対象となる。

格下げは、2011年3月24、25日に開催された欧州理事会会合(EU首脳会議)の最終声明により、(1)公的債務の再編が、EU加盟国が欧州安定化メカニズム(ESM)を通じて融資を受ける前提条件となる可能性がある、(2)無担保優先債務はESMを通じた借り入れよりも返済順位が下位になる、とのS&Pの見通しが裏付けられたことを受けたもの。「両者はいずれも、ESM融資を受けるEU加盟国の民間債権者には不利になると考える」(S&P)。

S&Pは、ギリシャ政府が2010年の財政に関する最終データを発表し、2011年の同国の財政見通しがより明らかになった後、今後3カ月以内にCWを解除する予定。

2010年の財政収支がS&Pが現在予想するほど悪化せず、2011年の財政悪化幅もS&Pの予想を下回る見通しとなった場合は、格付けを据え置く可能性があるという。

一方、2010年の財政収支が政府目標より大幅に悪いことが明らかとなったり、2011年の財政収支が政府目標を下回る見通しとなった場合には、格付けをさらに1ノッチ(段階)か2ノッチ引き下げる可能性があるとしている。

そのほか、国内の政治的反対勢力により、財政安定化計画を遂行するギリシャ政府の能力が低下したとS&Pが判断した場合にも、格下げとなる可能があるという。