メジャーどころからマイナーな作品まで、漫画通たちがおもしろい漫画を紹介してくれるムック「このマンガがすごい!」。僕も一人の漫画読みとして毎年楽しみにしているのですが、その2011年版でランクインした「高杉さん家のおべんとう」「ドントクライ、ガール」の2作品が、なんと電子貸本サービス「Renta!」で読むことができるのだとか!

さっそく借りて読んでみたところ、両方ともなるほどさすがランクインするだけあるなと思わされる傑作だったので、ここでがっつりご紹介させていただこうと思います。

高杉さん家のおべんとう

『高杉さん家のおべんとう』(メディアファクトリー刊)

えー、読んだ感想を一言でいうと、

久留里めっちゃ可愛い!

です。

主人公は大学院の博士課程を修了するも就職活動がうまくいっていない30歳の温巳。ひょんなことから従妹で12歳の美少女・久留里を引き取って共同生活することになった温巳が、なかなか心を開かない彼女とお弁当作りを通じて心を通わせていく心温まるほのぼのコメディー。

この漫画の何が素晴らしいって、何度も言いますが、まず久留里が可愛い! ということ。

そしてそんな久留里と温巳の心の距離が次第に近づいていく、その過程の描き方なんです。

不器用な三十路の温巳と、複雑な事情で心を閉ざしている12歳の久留里――そんな二人がある日突然一緒に住むことになったら、そりゃもう初めはお互いにうまく接することができないに決まっています(僕も30歳なので想像するとよくわかります!)。

そんなぎくしゃくした日々を変えてくれるのが、お弁当なんですよね。考えてみればお弁当ってその家の食事の縮図といっても過言ではないですし、作り手の思いとかそういうのがストレートに反映されるもの。

ちょっと手抜きな感じだったら、ああ忙しかったんだなと思うし、玉子焼が焦げてたら朝だから焦ったのかなとか思うし、おかずを見れば昨夜の晩ご飯が何となく想像できますよね。

だからこそこの漫画では、つい言葉足らずになってしまう久留里の本当の気持ちをお弁当が代弁してくれたり、逆に温巳が久留里のために気持ちを込めて作ったお弁当が彼女の頑なな心を溶かしたり、そういう二人が心を通わせていく過程が丁寧に描かれていて、もう本当にニヤニヤしてしまうのです。

また、そんな二人を取り巻く周囲の人々もすごく良くて、天然ボケな後輩の小坂さんとか、仕事面でも人間的な面でも頼りになる香山さんとか、最初は久留里を嫌ってるんだけど少しずつ打ち解けて親友になるなつ希とか、お弁当がつなぐ人と人との温かいつながりにじわっと癒される、そんな作品なのです。

さりげなくお弁当レシピも充実していて、ちょっとしたコツなんかも満載。料理漫画としてもクオリティが高いのがまた良いですよね。

早く続きが読みたい!

ドントクライ、ガール

『ドントクライ、ガール』(リブレ出版刊)

「このマンガがすごい!」で第2位にランクインしたヤマシタトモコの青春爆笑コメディ。 ヤマシタトモコさんといえば個人的にはBLのイメージが強かったのですが、やはりこの人はセリフ作りとかギャグのテンポが抜群にうまい方なんだなと改めて思いました。たぶん何を書かせても基準点を超えてくる万能タイプの作家さんです。

物語設定はかなりぶっ飛んでいて、主人公は親の不手際で知人宅に居候することになった女子高生のたえ子。そんな彼女を快く出迎えたのが、家ではつねに裸で過ごしているという"裸族"の升田!

いやー、色んな漫画を読んできましたけど、これほど初見のインパクトがある作品もそうはないです。

だって2ページ目で全裸の男と女子高生が対面しているんですよ。……コラージュか! って言いたくなるよう構図ですよ、ホント。

が、残念ながら升田は至って大まじめ。

裸族なこと以外はすごく良い奴なんですけどね……イケメンだし……料理うまいし……優しいし……裸族だけど……。

で、たえ子のツッコミがまたキレまくってて最高なんです。

全裸で出迎えた升田に向かって冷静に、

「升田さん わたし処女なので男性器を初めて見るのですが ハラスメントです」

と言える女子高生!

サバサバ系というとまたちょっと違うかもしれませんけど、ホントこういうツッコミができる女の子って素晴らしいと思います。

で、この手のインパクト勝負の漫画ってダラダラと長く続けると往々にしてクオリティが落ちていってしまうことが多いのですが、その点を本作はよくわかっていて、ちゃんと120ページで綺麗に完結しています。

最初から最後まで勢いを落とすことなく強烈に笑わせてくれる「ドントクライ、ガール」、これは一読の価値ある作品だと思いますよ。

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