皆さん、「歴史」は好きですか? ぼくは大好きです!

学校の勉強が嫌いだったぼくがなぜ歴史を好きになったかというと、それは漫画のおかげ。子どもの頃に「三国志」や「偉人の伝記シリーズ」で歴史に興味を持ったという人も少なくないはずです。漫画って、教科書で読むと味気ない歴史の裏に潜むドラマをわかりやすく伝えてくれるのにぴったりの手法なんですよね。

もちろん電子書籍をレンタルできるサービス、電子貸本「Renta!」でも、多数の歴史に関する漫画がそろっており、ぼくも気になる単語で検索をかけたりして色々と読んでいます。

ということで今回はその中から、ちょっと変わった角度から歴史を見ることのできる面白い作品をいくつかご紹介していこうと思います。

秘密の新選組

『秘密の新選組』(太田出版刊)

今回のイチオシ! 「新選組」というとすでに歴史漫画としては定番化したモチーフであり、スタンダードなものから「if」のストーリーまで、様々な作品がこれまでに発表されているわけですが、この「秘密の新選組」はそれらと一線を画すぶっとんだ設定が売りなのです。

その設定とは……新選組の女体化!

と、書くと「女体化ってそんなに珍しいジャンルじゃないし」と言われる方もおられるかもしれませんが、たぶん本作は皆さんが思う女体化とはちょっと違います。

まず、これは別にエロ漫画でもないし、いわゆる"萌え"る漫画でもないということ。絵柄もどちらかといえば劇画タッチですし、はっきり言って「女体化」という要素自体に興奮できるタイプの作品ではありません。そもそも女体化したといっても、見た目にはそんなに変化がなく、たとえば近藤などは乳房が女性に変わってしまっただけで容姿はゴツいままなので、なんというかもう、色々と残念な感じなのです。

じゃあ本作の何が面白いのか?

まず簡単にあらすじを紹介しましょう。

物語が始まるのは、すでに新選組メンバーが一通りそろった明治元年の京都。ひょんなことから「飲むと男の中に眠るホルモンを目覚めさせ、女体化してしまう」という秘密の薬を飲んでしまった新選組幹部たちの胸には、あろうことか女性の乳房が! ひたすら呑気な近藤、焦って暴走する土方、どんどん乙女になっていく藤堂――新選組はどうなってしまうのか?

……という感じで、「ひょんなこと」って何だよとツッコみたくなりますが、それはさておき、面白いのは女性になってしまった近藤、土方、沖田、原田、藤堂のキャラクターの違いです。

たとえば近藤などは女体化しても豪放な性格は変わっておらず、単に"胸が出てきただけじゃん"くらいの鷹揚さでのんびり構えているわけですが、土方は意図せずして薬を飲んでしまったこともあり大慌てに。また、藤堂は体だけではなく心まで女性化していき、次第に某隊士に密かな思いを抱くようになっていく――といった具合です。

しかも新選組幹部たちが女体化したなんて世間に知られたら大変ですから、このことは絶対の秘密! 彼らは元に戻る方法を模索しつつ、幹部として普段通り一般の隊士たちに接しなくてはならなくなります。

このドタバタ劇が前半の面白いところなのですが、しかし本当にすごいのは後半。

ご存じの通り新選組の物語って、だいたい終盤に向かうにつれて悲劇的な色を帯びてきますよね。でも女体化なんて無茶なファンタジー要素を入れてしまったら、それこそ最後までコメディとしてやっていくしかないわけです。……普通に考えれば。

ところが、本作は女体化要素を最後まで引っ張りながらも、しっかりと歴史の流れに沿ってストーリーが進んでいくという離れ業をやってのけているのです。

さらに、池田屋事件や隊士たちの造反など、新選組を語る上で欠かせない有名エピソードを、すべて女体化にこじつけて無理なく説明しているからスゴイ!

これを読んでいると、「なるほど、あの時あの隊士が○○な行動を取ったのは女体化してたからか」と思わず納得しそうになりますからね。恐ろしい作品ですよ、これは……。

そんなわけで、歴史漫画としては語り尽くされた感もあった新選組をモチーフに、とんでもない方向から切り込んできたキラータイトル「秘密の新選組」、お勧めです。

私は薔薇

『私は薔薇』(ヴェルヴェット・ポゥ刊)

ちょっと前に映画などでも話題になりましたが、高級ブランドとして名高いシャネルを立ち上げた人物、ココ・シャネルの生涯を描いた作品がこの「私は薔薇」です。

と書くと、どこが歴史? と思われるかもしれませんね。

ぼくも読んでから知ったのですが、ココ・シャネルを知ることは、すなわち20世紀におけるファッションの歴史を知ることであり、つまり、ここで学べる歴史とは「20世紀のファッション史」ということなのです。

ほら、皆さんも一度くらい疑問に思ったことはなかったですか?

19世紀まで女性のファッションといえば長い髪にドレスにコルセット(腰をくびれさせるためにギュッと巻いていたアレ)だったわけで、それがなぜ20世紀なり、現代のようなファッションへとつながっていったのか。

実は、それこそがココ・シャネルの功績だったのです。

ではココ・シャネルはいかにして、そうした革命とも言えるファッションを生み出すことができたのでしょう。

その答えは本作の中にありますが、読めば間違いなくこれまでとシャネルに対する印象が変わるはず!

シャネルを愛用しているけど彼女の人生については知らなかったという方も、そもそもシャネル自体縁がないよという方もぜひ。

ファッション好きなすべての人にお勧めしたい伝記漫画です。

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