これまで見てきたように、OCW-T1000はスマートアクセスを採用したことにより、多機能化と優れた操作性を同時に実現することができた。電子式のリューズスイッチは、そのために開発された従来のカシオにはない新機構である。しかし、これまであえてオシアナスにはリューズを採用しなかったという経緯もあり、リューズ機構の開発にはカシオも相当神経を使ったようだ。

「リューズは内部機構と密接に関わるパーツのため、耐久性の面で懸念材料となります。リューズを使うことは一つのチャレンジではありますが、カシオの"タフの精神"に背くものであってはなりません。ですから、今回のOCW-T1000には、磁石を使用した非接触式のリューズシステムを採用しています。巻真先端に取り付けられた磁石の極性の変化を、磁気センサーが読み取って、ユーザーの操作内容を理解する仕組みです」(岡本さん)

OCW-T1000の最先端技術を体感できる、無料iPhoneアプリ「OCEANUS App」も登場した(アンドロイド端末用も公開中)。リューズは、フリックすることで実物と同じように直感的な操作が可能

1983年にG-SHOCKを発表して以来、ひたすら耐衝撃構造を突き詰めてきたカシオらしいアプローチの仕方といえるだろう。たしかに歯車の代わりに磁石を使用すれば、リューズとモジュールの物理的な接触はなくなり、当然、外部からの衝撃も内部には伝わりにくい。「しかも、複雑な機構を必要としないために、スペース効率も高められます」と、岡本さん。5モータードライブや、電波受信用のアンテナなどを内蔵し、なおかつリューズ機構も組み込みながら、厚さ12mmというきわめてスマートでコンパクトなボディを実現している。

実際に機能性の追求だけではない。OCW-T1000には、細部に至るまでオシアナスならではのクラフツマンシップに則った妥協のない作り込みが見られる。電子式のリューズスイッチの先端部には、ブルー蒸着したガラスにオシアナスのブランドマークをレイアウト。風防にはキズがつきにくいサファイアクリスタルを使用し、球面加工を施して高級感を出している。ブレスレットの鏡面仕上げの部分には、研磨技術の最高峰といわれる"ザラツ研磨"があしらわれ、透明感のある美しい輝きを実現。まさしくオシアナスが掲げる"テクノロジーとエレガンスの高度な融合"。その最新コンセプトが、OCW-T1000には宿るのだ。

「OCW-T1000-1AJF」(左)と「OCW-T1000-7AJF」という、2色のカラーバリエーションを用意する

モデルのバリエーションは2種類あって、ブルーの差し色が美しいブラックダイアルと、ホワイトダイアルを用意。ともに税抜きで10万円(税込10万5,000円)であり、切りの良い数字からも、これがあえて価格を控えめに設定した戦略的なモデルであることがうかがい知れる。もちろん世界6局の電波受信機能や、針位置自動修正機能、タフソーラー等も完備する。

ユーザービリティを追求した、多機能アナログの新次元がここに見られる。