海外時間概況
アイルランドに対する支援決定を受けても、市場の反応は短期筋のユーロの買い戻しが一時的に出ただけ。市場の焦点はすでに他の欧州諸国に対する懸念に移っており、その上アイルランドの政局に絡む財務削減案の履行に対する懸念がまだ残っていることが重石となった。
また、ユーロ圏全体の成長率も下方修正されたことも嫌気された。欧州株式市場は軟調に推移。その影響を受けて米株式市場も軟調に推移するも、質への逃避という点で米債券市場に資本が流れ、金利低下を促した。
その後、オバマ大統領が公職員の給与を2年間凍結と発表したことを受けて、財務体質改善という視点で好感され終盤にかけて反発する展開となった。
為替市場でもユーロは売りこまれた。リアルマネーなどからユーロ売りが持ち込まれ、他の通貨に対しても同様。この動きからドルインデックスが81台を久しぶりにつける展開があった。年末に向けたドル買い需要もその後持ち込まれ、ユーロは1.30台まで反落。
資源通貨も多少緩む展開となったが、原油価格など資源関連価格が比較的堅調に推移したことで、多少反発。ドル円は、ドル買いと円買いに挟まれる形で、84円台を維持する展開となった。
主な経済イベント予定
・08:30 (日)10月有効求人倍率
・08:30 (日)10月完全失業率
・08:30 (日)10月家計調査
・08:50 (日)10月鉱工業生産 速報値
・19:00 (日)外国為替平衡操作の実施状況 発表
・09:30 (豪)第2・四半期経常収支
・14:30 (インド)第3四半期月期GDP
・16:45 (仏)10月生産者物価指数
・18:00 (独)11月失業率
・19:00 (ユーロ圏)11月消費者物価指数 速報値
・19:00 (ユーロ圏)10月失業率
・23:00 (米)9月S&Pケース・シラー住宅価格指数
・23:45 (米)11月シカゴ地区購買部協会景気指数
・24:00 (米)11月消費者信頼感指数
・00:30 (ユーロ圏)トリシェECB総裁 欧州議会の経済・金融委員会に出席
・02:30 (米)コチャラコタ・ミネアポリス地区連銀総裁 講演
・05:00 (米)バーナンキFRB議長とピアナルト・クリーブランド地区連銀総裁 ディスカッションに参加
アジア時間の見通し
海外時間において、市場ではユーロ売りはまだ継続するという見方が優勢となっている。テクニカル的には200日移動平均線を下回ったことで、リアル・マクロ筋からの欧州関連の解消の動きが出てきている。
また、問題視されている欧州各国に対する懸念が重石となっている。ポルトガルは、支援を受けることになると見ている。そして最大のポイントとなるスペインについては、やはり金融システム安定化の費用がかなりかさむという見通しが出ており、各欧州系金融機関の融資額に絡む懸念がさらに高まっている。その上、ギリシャ債務の再編の可能性が出てきている。ドイツが提唱している投資家負担という点も依然くすぶっており、年内の解決も難しいのではないだろうか。
アジア市場では海外のリスクオフの展開を受けて、上値が重たい展開となりやすいか。
リアルマネーなどからポジション解消圧力が出ていただけに、アジア市場で同様な動きが出てくるかどうかがカギとなろう。また、日曜日から実施されている米韓軍事演習も、本日砲撃を受けた延坪島(ヨンピョンド)からの砲撃訓練を行う予定になっているらしく、一番緊張感が高まっている時期にある。リスクオフという地合いに加えて地政学上リスクがある中では、各アジア株式市場も動きづらい展開か。
そして、為替市場では、ドルの地合いが各通貨において温度差が出てきている。
ユーロは、前述したポイントが解決されない限り戻りは限定的になろう。昨日も短期筋の買い戻しの可能性があったが、それも1.33台を瞬間付けただけで、200日移動平均線をも割り込む展開となっては、モデル系ファンド筋もシグナル点灯で売りを持ち込んでいた。引き続きこのポイントを割り込んでいる展開となるのであれば、欧州問題においてサプライズが出てくるまでは、売り優勢と市場ではみている。
こういった中、警戒しておくべきは、新興国の株式市場の展開。昨日ブラジル株式市場は反落しており、本日の中国、インドなどの市場も軟調に推移すれば、資源需要の点で注意しておきたい。
資源需要が旺盛な地域だけに、新興国市場におけるリスクオフは、資源通貨にとっては重石となる。中国においては当局の引き締めスタンス(年内に利上げの可能性が指摘されている)も気になっていることから、豪ドルは200移動平均線がサポートされるかどうかがポイントとなろう。