【今日のCFD】NY原油先物12月限

量的金融緩和第3弾(QE3)への期待感を背景に、為替市場ではドル売りが更に加速し、株式市場では米ウォール街株価指数は2008年のリーマン・ショック前の水準まで回復。米SPX500も年初来高値を更新したことで、リスクテイクの波は原油相場へも波及している。

今回の株高とドル安を受け、リーマン・ショック時の原油相場が100ドル絡みの高値圏で推移していたことや、年初来高値(87.15ドル 5月3日)にすら達していない現在の価格水準は割安との声も、市場関係者から聞こえるようになった。これは投資家マインドが改善の方向へと向かっていることを示唆しており、今後も原油価格の押し上げ要因となりそうだ。

次に要人発言から原油相場の下支え要因を探ってみると、昨日、石油輸出国機構(OPEC)のバドリ事務局長が「原油価格が90ドルに上昇しても世界経済の回復に支障は無い」との見方を示した。更に今月に入ってからは、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相も70~90ドルの価格水準について消費者にとって満足できるものだとの見方を示すなど、90ドルの原油相場についての言及が増えてきている点にも注意を払っておきたい。

従来OPEC側は70~80ドルの水準を支持するスタンスを取っていたが、中国など新興国の需要が堅調なことで世界的な需給引き締まり傾向になっていることで、レンジ切り上げを要因したとの観測が強まれば、90ドルを目指し更に投資資金が流入する可能性が強まるだろう。

もちろん相場である以上、下落する可能性もある。

材料としては、いつも指摘しているように先進国の過剰在庫環境が潜在的な売り要因として市場で意識され続ける可能性が高い。しかし、現状は需給動向よりも投資環境主導の相場展開になりつつある点を考慮するなら、株高/ドル安トレンドが終息しない限り、一過性の利益確定売り材料とはされても下落トレンドを作りだす状況まで至らないのではないか。

ただし、短期に90ドル、100ドルと投機色の強い上昇で値位置を切り上げた場合に、国際エネルギー機関(IEA)やOPECなどが、割って入ってくるのか否かは要注意。

なお、テクニカルで見ると、5月3日高値の高値87.15ドルを上抜けると、あとは88.00のラインと89.83(史上最高値147.24から32.40の半値戻し)くらいしか明確なレジスタンスポイントが見当たらない。あとはオシレーター系指標を用いてその時のトレンドを見極めることが重要になると思われる。

NY原油先物12月限 1時間足