二輪車のETC車載器新規導入助成は、まだ上限台数の5万台に到達しておらず、現在(29日)も継続している。高速道路財団によると、28日時点での累計助成台数は3万4,304台。一日の平均助成台数は200台程度とのことで、四輪車では一日に1万台以上の助成が行われ、ゴールデンウィーク前には予定台数に達し終了したことに比べると、ゆっくりと推移している。数字の上では二輪車ユーザーからの反応は薄いようにも感じられるが、実際のところはどうなのだろうか?

唯一の二輪車ETC車載器メーカーである日本無線によると、助成開始以降、二輪車ユーザーからの問い合わせが急激に増えたという。現在は生産台数を約1.5倍に増やしているそうだが、「中々注文に追いつくことができず、品薄になってしまっておりユーザーさんには申し訳ない思いです」(同社)。4月末時点での累計出荷台数は17万7,000台とのこと。また、都内の二輪車用ETC車載器を取り扱っている小売店に話を聞いたところ、問い合わせは多いが在庫が無いといい、5月下旬現在でもユーザーが購入できない状況が続いている。二輪車の助成が遅れている原因は、ユーザーの反応の薄さではなく、品不足が大きく影響しているようだ。

全国軽自動車協会連合会が公開しているデータ(2009年2月時点)によると、高速道路利用が可能な二輪車(126cc以上)の保有台数は353万6,069台。日本無線の累計出荷台数のデータと合わせると、現在の二輪車のETC車載器搭載率は5%程度ということになる。なお、四輪車の保有台数は7,572万2台(2009年 2月時点 / 全国軽自動車協会連合会調べ)。道路システム高度化推進機構によると、ETC車載器の2009年4月時点での累計セットアップ件数が2,503万1,231件(再セットアップ件数除く)であることから、四輪車のETC普及率は3割程度ということになる。

四輪車に比べて二輪車のETC車載器の普及率が低い原因としては、小売店等の話によると「四輪車に比べて価格が高く、通常、取り付け費用等を含めると4~5万円くらいかかってしまうので、搭載を躊躇する人が多いようです」とのこと。二輪車用ETC車載器は、アンテナ分離型の「JRM-11」(2万9,820円)とアンテナ一体型の「JRM-12」(1万9,950円)の2種類のみ。基本的に取り付けとセットアップを行わない本体のみの販売は行われていないという。取り付け、セットアップにかかる費用等は店によって異なるが、だいたい1万5,000~7,000円程度。ちなみに四輪車の本体価格はだいたい1万円前後で、取り付け/セットアップは1万円程度。二輪車は市場が四輪車の5%程度の大きさと狭く、新規参入するメーカーも中々現れないことから、四輪車ほどの価格低下は起りにくい状況のようだ。

二輪車用ETC車載器への問い合わせがメーカーや小売店に殺到し、購入待ち状態という状況を鑑みると、いずれ助成の遅れは解消されそうだが、搭載車が助成分増えたとしても普及率は6%程度で、高い水準とはいえない。助成終了後、いかにETC車載器の普及を伸ばしていくかが本当の課題となってくるのではないだろうか。