6月13日公開の映画『真夏のオリオン』の製作報告会見が22日、都内のスタジオで行われ、主演の玉木宏や北川景子、堂珍嘉邦らが登壇し、作品に対する思いや撮影中のエピソードを語った。池上司による原作『雷撃深度一九・五』(文春文庫刊)は、第二次世界大戦中の潜水艦の死闘をモチーフに描かれた戦争サスペンス。映画版に当たり、『亡国のイージス』、『終戦のローレライ』などを手掛けた人気作家・福井晴敏が、新たな人間ドラマとアクションシーンを書き足した。

当日登壇したキャストとスタッフ。前列左から、平岡祐太、北川景子、玉木宏、堂珍嘉邦、吉田栄作、後列左から、福井晴敏(監修・脚色)、岩代太郎(音楽監督)、篠原哲雄(監督)

主演の玉木宏が戦争映画に挑むのは今回が初めて。イ‐77潜水艦の艦長・倉本を演じ、「劇中の『死ぬために闘うのではなく生きて帰るために闘う』という台詞がすごく頭の中に残っている」と語った。さらに「懸命に闘って生きて帰った人たちがあってこそ、今日があって未来があるのではないかと考えました」と続け、自身と同じ年の主人公に対しても敬意を表した。

その倉本艦長に思いを寄せる娘・志津子役と、2人の孫・いずみ役の2役を演じたのは北川景子。「今回この映画を通して、こんなにも戦時中の人たちは自分が生きぬく事に一生懸命だったんだと知りました。昔の人たちの力強さやたくましさは忘れないで語り継いで行きたいと思うし、それを知るきっかけとしてこの映画を若い人たちにも見て欲しいです」と、真剣な表情でコメントした。

(C)2009「真夏のオリオン」パートナーズ

倉元の親友役を演じたのは、CHEMISTRYのボーカリスト・堂珍嘉邦。今回俳優としてスクリーンデビューした堂珍は、「音楽活動では自分のメッセージを人に伝える作業をしているけれど、芝居を演じるのは役になりきること。歌の世界ではある意味ない作業で、そこにやりがいを感じたし勉強になりました」と、撮影中を振り返った。

役作りのために玉木と堂珍はそれぞれ撮影前に広島の呉に行き、海軍についての知識を増やしたと言う。戦時中を描いた作品だけに、出演者らは普段よりもいくぶん硬い表情だったが、玉木からは「戦時中という設定なので、体重管理も一応気をつけてはいました。映画『ミッドナイト・イーグル』の撮影のときは、風邪は引くはどんどん太るはで自己管理が出来ていなかったので、今回はちゃんとしようと思って」という意外なエピソードも飛び出し、会場が和む場面も。

若い俳優陣による熱演はもとより、潜水艦内を再現した巨大セットやアメリカに残る本物の駆逐艦内で行われたというリアルな映像にも注目したい。メキシコ海軍の協力を得て、第二次世界大戦以降いまだ現役の駆逐艦を航行させて撮った迫力のシーンも登場する。

『真夏のオリオン』は6月13日より公開。