日本の風俗を紹介した海外のテレビ番組などを上映した後、

唐沢「品がないと言われたので、次は、品のあるネタをやろうと」

岡田「絶対ウソだ」

唐沢「いや、ホントホント。スペースオペラというものがあるわけですが、だいたい何年ごろのものだと思いますか?」

岡田「一般的に流行ったのは、1940年代後半からですよね」

唐沢「40年代後半から50年代にかけてですよね。で、宇宙におけるドッグファイトというのも、そのぐらいにイメージされた」

岡田「実際に映像化されたのは、1970年代以降」

唐沢「そうですね。実は、アニメーションなんですけれども、なんと1929年にね、作られていたと」

岡田「29年?」

唐沢「昭和4年。今、クラシックアニメに関する研究書を書いているんですね。僕も17、8のころから、クラシックアニメが好きで上映会に行ったりしていて、古いアニメって、そう数もないし、よほどマイナーなもの以外はだいたい目にしていると思ったら、この歳になって、まだ観たこともない一連のアニメがあった。それが、ロシアにおけるプロパガンダアニメ」

岡田「ああ!」

唐沢「そういうアニメの中に、実は、スペースオペラがあるんですよ。それは、共産主義革命がどんどん進んでプロレタリアたちが地球を覆いつくしてしまったために、ブルジョアたちが地球にいられなくなって火星に逃げて、火星にブルジョア帝国を作るんですよね(笑)」

岡田「……ほう」

唐沢「で、それを追いかけて」

岡田「なんで、追いかけるの?」

唐沢「この宇宙に醜いブルジョアがはびこってはいけない、殲滅しなくてはいけない、というので、わざわざ宇宙艦隊を使って火星に行き、プロレタリア軍とブルジョア軍が壮大な宇宙船どうしのドッグファイトを繰り広げるというね(笑)」

岡田「どっからが唐沢さんの妄想なんですか?(場内爆笑)」

唐沢「いや、妄想じゃないということをお観せします(と言いながらDVDを取り出す)」

岡田「あるんだ!」

唐沢「これはアメリカで出てるやつなんだけれども、アニメの技術は、ハッキリ言って拙劣です。(DVDの上映を始め)『INTERPLANETARY REVOLUTION』」

岡田「惑星間革命、ですね」

『INTERPLANETARY REVOLUTION』タイトル

岡田「これは、子ども向けというわけでもないんですね」

唐沢「一般民衆に向けて、啓蒙するためのものですね。これがブルジョアですね」

醜く描かれたブルジョア

カネの亡者として描かれたアメリカ

プラウダに掲載されたマルクスの『資本論』を見て恐れおののくブルジョア

なぜかドタ靴のような宇宙船に乗って地球を逃げ出すブルジョア

こちらは、プロレタリアの宇宙船

プロレタリアの宇宙船から外の宇宙空間をながめる

こちらのドタ靴宇宙船には、ハーケンクロイツに似たマークが

火星のブルジョア帝国に乗り込んで光線を発射するプロレタリア軍

岡田「一つ一つ観たら、すごいんだけども、あまりにいろんな技法が使われていて、分かんなくなっちゃいますね(笑)」