2008年に60周年を迎えた「はとバス」の記念EXPOが9月23日、晴海で開催される(詳細は後述)。誰もがその名を知っている「はとバス」だが、ツアーの内容は想像以上にバラエティに富んでいる。なかでも、なかなか行きにくい夜のスポット観光、最上級バスでの旅や貸切の宴会パックなどが人気を博しているという。

首都圏に住んでいる人にも、改めて「はとバス」の魅力を……と思っていたら、利用客の4割は東京・近県在住者とのこと。最近乗っていない人、一度も乗ったことがない人は、ぜひこの機会に「はとバス」の楽しさを感じていただきたい。

「はとバス」誕生は戦後間もなくのこと

1948(昭和23)年8月、まだまだ戦後の混乱の時期に、はとバスの前身となる新日本観光株式会社が設立された。初代社長は町村金五。日本の酪農の草分けと呼ばれる町村金弥の息子で、富山県、新潟県知事、警視総監、東京都次長を歴任した人物だ。ちなみに金五の次男は、町村信孝内閣官房長官である。

翌年、団体貸切第1号車として、成田山への初詣バスが元日に運行された。その年の3月には女性バスガイド第1期が5名採用されたものの、都内定期観光バス運行開始のわずか5日前のことだったというから、当時の大変さは計り知れない。バスの車体には、「スピードと平和、そして安全に」帰ってくるという意味で鳩の図案が描かれていた。後に「はとバス」という愛称が定着し、1963(昭和38)年、社名も株式会社はとバスへと変更された。

1949(昭和24)年3月19日、最初の定期観光コース〈都内半日Aコース〉の第1号車となったバス「富士」

1968(昭和43)年の写真。バスもガイドの制服も時代を感じさせる

これは見逃せない! 60周年特別企画ツアー

はとバスは季節によって数々のツアーがあるが、定期観光だけでも140以上ものバスのプランが用意されている。今年はやはり60周年を記念したツアーが注目だ。

「あの時この街 東京紀行」は、東京タワー、日本橋、お台場、六本木ヒルズなどを巡るツアーだが、ただ巡るだけではない。バス車内の液晶画面に昭和初期などの街の風景が映し出され、時代の移り変わりが実感できるようになっている。またGPSを活用し、バスの運行にぴったりと合った自動音声ガイドが流れるシステムは「はとバス」ならではのサービスだ。大河ドラマで話題となっている篤姫ゆかりの地を訪ねる「東京江戸散歩」も今年の人気。いずれも、60周年にちなんで6,660円(大人料金食事付)というのがうれしい。

「あの時この街 東京紀行」では、建設途中の東京タワーなどが車内に映し出される

プレミアムの旅とうたわれた「貴方に素敵な贈り物」は、最上級バスを利用した贅沢なツアー。帝国ホテルを出発、5分間ほどのヘリコプターフライトを体験し、マキシム・ド・パリでフレンチのコース料理を堪能した後、シンフォニーに乗船して東京湾クルーズに繰り出すという、空も海も味わいつくす内容である。

リバイバルの旅と銘打たれた「平成バブルへタイムトリップ!!」は、10月限定のコース。シンフォニークルーズ、向島老舗料亭、MAHARAJA SALOON King&Queenなどを訪ねる、バブル世代には感涙もののゴージャス感いっぱいのツアーだ。このほか、バスに選手が同乗するという「プロ野球マスターズリーグ応援ツアー」(11月、12月限定)などもある。バックネット裏での観戦、東京ドームのグラウンドレベル体験など特典も用意されている。