自分の工具はどのように揃えているだろうか? 最初にまとめて買ってそのままか、必要に応じて買い足しているといったところだろうか。「KTC」インタビューの後編は、工具の選び方やメンテナンスなど、身近なところをまとめてみた。お話を伺ったのは、小池覚 KTC営業本部営業統括部 営業企画グループ マネージャーである。

-- 工具選びの基本を教えて下さい

「SMB」と言ってますが、まずはスパナ、メガネ、ボックス(ソケット)からそろえるのが基本です。サイズについては、触ろうとされてるのがオートバイかクルマか、またそのどこを触りたいかというのをちょっとイメージしてください。そこについているボルトやナットをざっと見ていただくと、だいたいどのくらいの工具が必要かわかると思います。一般的なところではクルマで8mm、10mm、12mm、14mm、17mm、19mm。バイクではアクスル(車軸)に21mm、22mm、24mmが使われますので、そのあたりまでをそろえられればいいでしょう。

それから自分がしたい作業をイメージして下さい。プラグを外したいのか、カウルを付けたいのか取り外したいのか。もし、タイヤ交換までしたいということであれば、もう少しサイズを広げなければいけないと思います。

-- バイクのほうが多いんですね

斬新なカラーの自動車整備工具67点セット「SK3678EBL」(セール限定品)

本当はクルマも多いんですが、すぐに専用工具が必要になって、汎用という意味からは外れてしまうので、あえて少なく挙げています。どこに手をつけるか、足回りなのかエンジンなのか。例えばトルクレンチとか、専用工具をそろえるという考え方があるので、とりあえずそのあたりでそろえればいいと思います。

あとは、買う前に工具を実際に握って欲しいですね。フォルムが手に合うかどうかは必ず確かめてください。エッジのアール(曲面)をメーカーは結構こだわって作っています。我々は「I型断面」と呼んでますが、グリップの部分というのは強度を持たせる限界の薄さにしながら、なおかつ力をかけたときに誰の手でも極力痛くないようにしています。ワンオフで作るものではないので、10人いれば9人くらいは満足していただける形状や薄さにしています。それでも手の形状というのは人によって違いますから、そこだけは握って自分のフィーリングに合うかを感じてから買うのが、失敗しないコツだと思っています。「どこで買ったらいいですか?」とよく聞かれるんですけど、買うところはホームセンターで大丈夫です。プラスαとして、工具は必ず触ってから買って下さいね、と言っています。それだけでも買った後の満足度っていうのは全然変わります。

セットで買うのももうひとつの方法

カラフルな色が揃ったツールボックス「EK-1」

全く逆に聞こえるかもしれませんが、工具をセットで買っていただくのもひとつの方法です。なぜかというと、値段がお得というのもありますが、工具セットには最初はあまり使われないような工具も入っていますが、ある程度、将来性も考えてセットを決めています。何を追加するか購入時点では思いつかないかもしれませんが、作業していくうちにそれが必要になってくる。もしくは次のステップに進んだときに、「あ、このためにあるのか」と、便利さがわかってもらえると思います。そういった状況を想定しながら我々は工具セットを提供しています。

そのかわりセットの内容を決めるのは、めちゃめちゃ難しいですよ(笑)。値段もリーズナブルにしたいですし、プラスαとしてできることの幅も広げたいですから。我々もかなりこだわりながらラインナップをしています。将来的に幅広く作業したいという方は、絞り込んで買うよりも、そういったセットを買われたほうがいいかと思いますね。

-- セット製品ですと、トレイに工具がぴったりはまるようになっていて隙間がない場合がありますが、後で増やすときはどうしたらいいでしょうか?

KTCでいいますと、全部の段にトレイを入れてはいないんですね。4段であれば3段はトレイを入れますが、1段はフリースペースにしています。そのフリースペース部分に追加した工具を入れていただくのがいいかと思います。あと、工具を追加するというのはある程度使い込まれた方ですから、自分なりにカスタマイズされる場合が多いようです。トレイというのは出荷段階できれいに収めるという意味もあるのですが、ユーザーさんによってはトレイを外して、自分なりにきれいに収納して使ってらっしゃる方も多いです。