トリミングと全面写真

画面いっぱいに写真を引き伸ばした全面写真は、インパクトがあるので被写体を強く見せたいときに効果がある。しかし、写真を本の範型にあわせて端をトリミングしなくてはならないので、主たる被写体が画面いっぱいに写っている写真は全面写真に向いていない。一般的に写真の縦横比は、一眼レフが3:2、コンパクトカメラが4:3になっている。縦横比が違う写真を混合して使う場合は、どちらかの比率に併せてトリミングしたほうが配置のバランスが取りやすい。

画面に対し写真を小さく扱うと可愛らしい印象を与え、大きく扱うとダイナミックな印象を与えることができる

見開きにわたって1枚の写真を大きく使用すると、非常に強いインパクトをもつ。雑誌などでも見開きの全面を使う「見開き断ち切り」はもっとも写真が強く見える手法として、特集のトビラなどで多用される。ポイントは使用する写真が見開きに耐えるかどうか。細部まで見えてしまうので、ピントがあまかったり手ぶれしていると興醒めだ。またノドに人物の顔などがくると、なにを見せたいのか伝わりにくい。それであれば写真を少し小さくして、左右どちらかに写真を寄せたほうがいいだろう。風景写真で山の頂上などがノドにかかりそうな場合も同様だ。

顔など、写真の主たる部分をノドに重ねないのは鉄則

縮小してもいいので、顔はノドを外して配置する

右開きと左開きの違い

本という体裁には、右開きと左開きがある。本の背を下にして机に置いて、表紙が向かって右に開けば右開き、左に開けば左開きだ。これは主に文字の並びに関係する。右開きなら縦組み、左開きなら横組みだ。では写真集やフォトブックではどうかというと、左右どちらでも問題ない。強いてあげるなら、横に広い風景写真などを中心とした写真集は左開きが多く、人物写真集は右開きが多いようだ。あくまで傾向だが。

重要なのは、右開きと左開きで見る人の視線の流れが逆になるということ。右開きなら視線は右上から左下に向かうし、左開きなら左上から左下に向かう。それに合わせて写真の順番を考えたり、余白を考えるのがいい。また、見開きでは流れに対して受けになるページに視線がいきやすい。右開きなら見開きの左側ページ、左開きなら右側のページだ。そのため、見開きの片方に断ち切り全面写真、対向ページが小さい写真と配置するような場合、受け側のページに断ち切り写真を持ってきたほうが安定感が増す。

そのほか、横や斜めを向いた人物写真は、見開きの中央(ノド)を向くように配置したほうが安定するなど、細かなセオリーはいくつもあるが、あまり気にしすぎると何をどう置いていいかわからなくなる。とりあえず並べてみて違和感を感じるようだったら置き方を変えてみる程度でいいだろう。雑誌などは人の目線が自然に流れるように、しかも効果的に見えるよう、いろいろ考えられている。写真の置き方などを意識しながら雑誌を見るのも勉強になるはずだ。

左開きの場合、視線は左上から右下へ流れる

右開きの場合は、逆に右上から左下へ