第10代チャンピオンとなったトータルテンボスの藤田憲右(左)と大村朋宏

NHK総合の人気バラエティー番組『爆笑オンエアバトル』(毎週金曜 24:10~24:39)の第10回チャンピオン大会ファイナルが22日、放送され、吉本興業所属のコンビ・トータルテンボスが第10代チャンピオンに輝いた。

大会には、9代目チャンピオンのNON STYLE、えんにち、オジンオズボーン、三拍子、ストリーク、タイムマシーン3号、超新塾、トータルテンボス、流れ星、Bコース、プラスマイナスの11組が参加。NON STYLEが安定したネタを披露し、オジンオズボーンやBコースが勢いのあるネタで勝負、流れ星やタイムマシーン3号が強烈なキャラクターを押し出すなど、ハイレベルな戦いとなった今大会を制したのは、結成10年目のトータルテンボスだ。昨年の『M-1グランプリ2007』では優勝候補の一角として期待されながら、敗者復活枠のサンドウィッチマンに栄冠をさらわれ、悔しい思いをしたコンビが、ついにタイトルを獲得した。藤田は「ハンパねぇうれしい!」と得意の持ちギャグで喜びを表現すると、大村は「4年前にルミネの小さな大会で獲ったくらいですから、ほとんど初タイトルのようなもの。じわじわと嬉しさがこみ上げてきました」と冷静ながらも、わずかに目を潤ませながら語った。

例年以上にハイレベルな戦いが繰り広げられた『爆笑オンエアバトル』第10回チャンピオン大会ファイナル

地道に集めたデータによって生まれた勝機

「だいぶ前からやるネタは決めていたんです」(大村)。迷いなく臨んだファイナル大会。2人に勝算はあった。「全国ツアーをやったのが決め手ですかね」と大村は言う。実は、ツアーで全国を回った際に観客にアンケートをとるなどして、徹底してリサーチをかけていたのだ。「『M-1』はプロがプロを審査する。『オンバト』は一般の方々が審査する。『M-1』でウケたネタが、必ずしも全国的に面白いと思われているとは限らないんですよ」(藤田)、「だから、データに忠実にいこうと考えていたんです」(大村)。そのリサーチの結果、「抜群に人気がありましたね」(藤田)というのが今大会で披露したネタ「プロポーズ」だ。技術の高い大村の喋りに、藤田の諭す口調のツッコミがコンビネーションよく絡んでいく。関西的な「キレ」や関東的な「シニカルさ」はない、カテゴライズしにくいスタイルだが、彼らは静岡県御殿場市出身。東西の影響を受けていないところも彼らの味になっているのだろう。今回もネタの途中で挟んだ「忍びねぇな」(大村)、「構わんよ」(藤田)という鉄板ともいえる持ちギャグの"ほんわか"さは、可笑しくもありどこか温かさを感じさせてしまうという稀有なコンビである。

ツッコミとは言い難い、独特の諭し口調で笑いをとるスタイルが新しい

『M-1』での悔しさがバネに

「敗者復活制度がなくてよかったですよ(笑)」と大村は笑いながら言う。半分冗談だとしても、彼らの正直な気持ちを表していることは確かだろう。藤田も「もう終わったこと」としながらも「サンドウィッチマンさんのネタはとにかく展開が速かった」とポツリ。筆者も自然と昨年末を振り返る質問をしてしまったが、あの準優勝があってこその今回の優勝ではないだろうか。サンドウィッチマンは先日、次の『M-1』には出場しないと宣言した。一方のトータルテンボスは「優勝してよかったですよ。何がいいかって、来年のファイナルにまた出られますから。"全力少年"でやってきてよかった(笑)」(藤田)と語る。

『爆笑オンエアバトル』は、若手芸人の登竜門として位置づけられている王道のネタ見せ番組。過去にもアンタッチャブル、タカアンドトシらがチャンピオンとなり、巣立っていった。トータルテンボスも今回のチャンピオン奪取を機に、バラエティー番組への出演が増えるだろう。最近は「僕らはネタが命」、「舞台を軸にしたい」と発言する芸人が増えてきたが、売れるのに反比例してネタ作りの時間が減るのも確か。お笑いの一ファンからわがままを言わせてもらえば、彼らにはこれからも選りすぐりのネタで我々を笑わせ続けてほしい。

第10回チャンピオン大会ファイナル 結果

順位 コンビ名 獲得KB
1 トータルテンボス 1026KB
2 三拍子 1006KB
3 NON STYLE 886KB
4 タイムマシーン3号 878KB
5 超新塾 850KB
6 オジンオズボーン 738KB
7 Bコース 690KB
8 ストリーク 650KB
9 流れ星 578KB
10 えんにち 562KB
11 プラスマイナス 246KB

【参考】『爆笑オンエアバトル』歴代チャンピオン

コンビ名
初代 DonDokoDon
2代目 ルート33
3代目 ルート33
4代目 ハリガネロック
5代目 アンジャッシュ
6代目 アンタッチャブル
7代目 タカアンドトシ
8代目 タカアンドトシ
9代目 NON STYLE