アウディAG(ドイツ)は北米国際自動車ショーで、ハイパフォーマンス スポーツカーとして初めてとなる12気筒ディーゼルエンジンモデル「アウディR8 V12 TDIコンセプト」を発表した。搭載されるエンジンは500ps、1,000Nmという高出力を得ながら、欧州排出ガス規制ユーロ6の基準をすでに満たしているという。

アウディR8 V12 TDIコンセプト

「アウディR8 V12 TDIコンセプト」は、すでに公開されている「アウディR8」に6L(リッター)のターボチャージャー付きディーゼル・TDIエンジンを搭載したもの。このエンジンは、ルマン24時間レースにおいて2006年・2007年の連覇を達成したアウディのプロトタイプ レーシングカー「アウディR10」に搭載されたエンジンと近い設計となっている。

ボア×ストロークは83.0×91.4mm、排気量5,934cc。コモンレールインジェクション用の新開発高圧ポンプ2個を装備する。V型エンジンのバンク角は60度とし、エンジン全長は684mmと、V型8気筒TDIエンジンよりわずか166mm長いだけのコンパクトな設計とし、ミッドシップスポーツカーであるR8への搭載を可能にしている。2基のターボチャージャーにより、1,750~3,000rpmの回転域で1,000Nmの高トルクを発生し、0~100Km/h加速は4.2秒、最高速度は300km/hに達する。

このエンジンは高性能と併せて高い環境性能も備えている。排気ガス浄化システムは酸化触媒、DPF(粒子状物質除去装置)、「アドブルー」と呼ばれる尿素水溶液のタンクから構成される。このシステムは、車両のライフサイクルの最後まで有効に機能し続けるという。これらにより、窒素酸化物(NOx)の大幅な削減が求められる2014年施行予定の欧州排出ガス規制「ユーロ6」の基準をすでにクリアしている。

また、アウディは今年、世界で最もクリーンなディーゼルエンジンを市販車両に搭載することを公表した。ユーロ6規制はもちろん、最も厳しい米国の規制もクリアする最初のディーゼルエンジンになるという。このV型12気筒エンジンではないが、同種のシステムを搭載するものと考えられる。