「モノのインターネット」を指す「IoT」という言葉が叫ばれて久しいが、詰まるところB2Bにおける「M2M」の世界にインターネットやデータ利活用を組み合わせたものに過ぎない。加えて、最終消費者にとってIoTと言われてもまったく響かず、「だから何ができるの?」という言葉が返ってくるオチばかりだろう。

かと言って、モノがインターネットに繋がり、さまざまなデータをクラウドにアップして消費者の生活を豊かにする流れは止められない。人の関心の多くがスマートフォンの中から始まる時代になりつつある今、この小さなディスプレイの中に入ることができない企業は忘れ去られていくだけだからだ。

パナソニックとシャープはIoT化に舵を切る

特にさまざまな試みを見せているのが家電メーカーだろう。例えばパナソニックは4月1日付で技術部門に「ビジネスイノベーション本部」を設置。AIやIoT技術を活かした製品づくりを目指すべく、副本部長にSAPジャパン バイスプレジデントチーフイノベーションオフィサーだった馬場 渉氏を起用した。白物家電が、単なる「モノづくり」では生き残れないがゆえの判断だろう。

樋口 泰行氏(写真は2015年10月のもの)

また、同社のIoTに関連する最大の動きといえば、やはり日本マイクロソフトで会長を務めていた樋口 泰行氏の復帰だろう。もともとパナソニック出身の樋口氏は、その後外資系のITベンダーを渡り歩き、実に25年ぶりのパナソニック出戻りとなった。旧AVCのコネクティッドソリューションズ社長であり、B2B領域の担当ではあるが、パナソニックがB2Bシフトを掲げる以上は無視できない流れといえるだろう。

一方で同じ関西の家電メーカーのシャープも徐々にIoT時代の態勢を構築しつつある。鴻海出身の戴正呉(たい せいご)氏が社長就任後、初の記者会見で「シャープをIoTの会社にする」と宣言したことは記憶に新しいが、スマートフォンやネットワーク製品を手がける「通信システム事業本部」を「IoT通信事業本部」に改称。さらに、IoTは単にデバイスをインターネット経由で繋げるだけでなく、データを吸い上げるクラウドシステムが重要になることから「AIoT(モノの人工知能化)」を提唱している。

AIoTを他社と接続へ

このAIoTは、シャープの各種家電製品を横断的に繋ぐもので、「COCORO+」と呼ばれるAIエンジンをあらゆる製品に搭載。ロボットのスマートフォン「ロボホン」やAQUOSスマートフォン、はてはオーブンのヘルシオにまで対話機能を持たせた。共通ブランド化だけでなく、こうした技術を横串に搭載することで、さまざまなデータを集約・分析できるほか、さらなる機能改善やマーケティングにも利用できるメリットがある。

AIoTプラットフォームのアプリ「ココロボ~ド」は、LINEなどとは異なる専用のアプリにすることで、ユーザーがノイズに左右されずに家の家電情報などを取得できる