携帯電話大手各社が第2四半期の決算を発表したが、NTTドコモが上方修正を発表するなど、各社とも増収増益の好調な業績を見せている。端末の実質0円販売の事実上禁止を受けてもなお、大手キャリアが業績を落としていないのはなぜか。そして今後も好業績は続くのだろうか。

国内事業の第2四半期決算は好調さを示す3キャリア

10月末から11月頭にかけて、携帯電話大手3社が相次いで第2四半期決算を発表した。各社の決算を改めてチェックすると、前年同期比でNTTドコモが売上高3.3%増の2兆2,883億円、営業利益が26.6%増の5,855億円。KDDIが売上高7%増の2兆3,016億円、営業利益が18%増の5,326億円。ソフトバンクグループは、ソフトバンクを主体とした国内通信事業に限った場合、売上高は3.1%増の1兆5,556億円、利益は9.4%増の4,659億円となっており、いずれも増収増益の好調な業績であることが分かる。

各社の業績好調要因を確認すると、1つはやはり本業である通信事業の収入拡大が大きく影響しているようだ。NTTドコモは「カケホーダイ&パケあえる」契約者のデータ通信利用が拡大してARPUが上昇傾向にあること、スマートフォンとタブレットを同時契約するユーザーが前年同期比11%増の3409万契約に伸びていること、そして固定ブロードバンドサービスの「ドコモ光」の契約者数が、前年同期比3.5倍の253万契約へと拡大していることなど、本業の通信事業が回復傾向にあることが、売り上げの伸びに大きく影響しているようだ。

NTTドコモのARPUは「カケホーダイ&パケあえる」導入後大幅に下がったが、データ通信の利用が伸びたことや、「ドコモ光」の利用拡大などによって導入前の水準に戻ってきている

KDDIも、auの通信ARPA(Average Revenue per Account、1人当たりの月間売上高)が前年同期比1.7%増の4472億円に達するなど通信料収入が伸びたほか、端末販売収入も増加。ソフトバンクも移動体通信事業は微減だが、固定ブロードバンドサービスの「ソフトバンク光」が伸びたことから、増収となっている。

そしてもう1つは、通信事業以外の収入拡大である。NTTドコモは「dマーケット」「dカード」などのスマートライフ領域が順調に成長しており、その売り上げが同社の成長に大きく寄与している。またKDDIも、今年3月にテレビ通販大手のジュピターショップチャンネルを連結化し、売り上げを大きく伸ばしたほか、12月にはディー・エヌ・エーから「auショッピングモール」などのEC事業を取得するなど、ライフデザイン事業の拡大に向けた取り組みを強化している。

KDDIは3月のジュピターショップチャンネルに続いて、ディー・エヌ・エーのEC事業の一部も取得。au経済圏の拡大に向けライフデザイン事業の強化を進めている

だがここ最近の携帯電話業界の動向を見ると、4月に総務省が「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を打ち出して以降、大手キャリアがスマートフォンなどの端末を、実質0円やそれを割り込んで販売することを事実上認めない措置を打ち出し、端末価格が大幅に上昇。さらにMVNOやサブブランドなどによる低価格サービスが台頭してキャリアからユーザーを奪うなど、多くの逆風にさらされているようにも見える。