カスペルスキーセキュリティに限らず、大抵のセキュリティソフトの口コミを検索すると、「重い」という感想が必ず出てきます。軽いと評価のソフトに関しても、これは同様です。
では、一体どのようなケースでカスペルスキーセキュリティの動作は重くなるのでしょうか?そして、その場合はどのような対処を取れば良いのでしょうか?
この記事では、カスペルスキーを使用した際の実測値を参考にしつつ、そういった点について解説していきます。
カスペルスキーの遅さが気になる方向けにおすすめのセキュリティソフトも紹介しますので、迷われている方はぜひ参考にしてください。
実測値を公開!カスペルスキーは重いセキュリティソフトなのか?
結論から先にお伝えすると、カスペルスキーセキュリティは今のセキュリティ製品の中では特段重いソフトではありません。
上記の結論は、以下の2つの項目が根拠です。
- 著者の実測データ
- AV-TESTのパフォーマンステスト結果
それぞれの詳細について、順番にご紹介していきます。
カスペルスキー利用時の実測値
カスペルスキーセキュリティのスキャン性能などの実測を、以下の記事で行いました。
この記事でも、その際のデータを引用してカスペルスキーの性能を確認していきます。
計測に使用したPCは、エントリークラスの中でも性能的には底になる程度のスペックです。そのPC内のフォルダに約10GB程度のデータを入れてカスタムスキャンを実施。
その際にかかった時間を、計測しました。
テストの結果は、カスペルスキーセキュリティが18秒だったのに対しWindows セキュリティは同じ処理に51秒要しており、このテストではカスペルスキーの圧勝です。
一方、PC全体が対象となるフルスキャンではカスペルスキーが約60分を要したのに対し、Windows セキュリティは30分弱で処理を終えました。経過時間ではカスペルスキーが大幅に遅い結果になっています。
ただ、スキャンのログを確認してみるとカスペルスキーの方が大幅に多くの(50%近く多い)オブジェクトをチェックしており、スキャン内容の詳細さが性能の違いに繋がっていたようです。
AV-TESTのパフォーマンステスト結果
また、セキュリティソフトの評価を行なう第三者機関AV-TESTでは、以下のようなデータを公開しています(2023年4月のデータ)。
カスペルスキーセキュリティ | Windows セキュリティ | |
Webサイトの表示遅延 | 25% | 19% |
メジャーアプリのDL速度低下 | 2% | 3% |
一般的なアプリ起動速度低下 | 3% | 4% |
メジャーアプリのインストール速度低下 | 7% | 22% |
ファイルコピー性能低下 | 1% | 1% |
ユーザーが触れる機会が多いWebサイトの表示遅延に関してはカスペルスキーセキュリティの方が大きく、体感としてやや遅い・重いと感じる可能性はありそうです。
ただ、ファイルコピーの性能低下に関してはWindowsセキュリティに大幅な低下が見られます。
カスペルスキーが重くなるケースとは?
カスペルスキーセキュリティに限らず、セキュリティソフトを導入したデバイスの動作がもっさりする、重くなるケースは、セキュリティソフトが何らかの「仕事」をしているタイミングです。
処理を行なうためにCPUのパワーを使いますし、プログラムやデータを展開するためにメインメモリも普段より余計に消費します。これらが巡り巡って、ユーザーの操作を結果的に邪魔することになるのです。
この項目では、カスペルスキーセキュリティなどのセキュリティソフトの動作で情報端末の操作感が悪くなる代表的なケースを、4つピックアップしてご紹介します。
- オンデマンドスキャン、スケジュールスキャン実行中
- Windowsの場合:Windows Updateとセキュリティソフトの干渉
- Macの場合:タイムマシン用記憶域とセキュリティソフトの干渉
- Chromeでバナー広告ブロック、Webトラッキング防止を使うと重い?
それぞれの詳細は、以下の通りです。
オンデマンドスキャン、スケジュールスキャン実行中
スキャン実行中の速度低下は、どのOSのデバイスにも共通するポイントです。
セキュリティソフトがスキャンを実行している最中は、情報端末内蔵のストレージ(=ハードディスクやSSDなど)に大きな負荷がかかります。
そのため、スキャン実行中にアプリを起動したり、大きなデータの読み込み・書き出しを伴う操作を行うと、処理が大幅に遅くなることがあるのです。これが、操作感の劣化に繋がっています。
特に、オンデマンドスキャン(手動実行したスキャン)、スケジュールスキャンは、スキャン実行中にユーザーが何らかの操作を行なってもそちらを優先してくれません。ユーザーが「一時停止」の操作を行なわない限り、スキャン処理が動き続けます。
明示的に動かしたオンデマンドスキャンを忘れることはないでしょうけれど、設定した日時に自動実行されるスケジュールスキャンの方は動くタイミングをうっかり忘れてしまう可能性もあり、「なぜかパソコンが激重でカスペルスキーがCPUに負担をかけている」という場合は、スケジュールスキャンが実行されていないか一度確認してみることをおすすめします。
Windowsの場合:Windows Updateとセキュリティソフトの干渉
Windows系パソコンの場合、Windows本体のアップデートであるWindows Updateが動作するタイミングでPCの動作が重くなります。そして、この動作にセキュリティソフトが絡むと、Windows Updateによるレスポンス低下の度合いが大きくなることがあります。
これは、Windows Updateが取ってくるアップデートプログラムやデータに対しても、セキュリティソフトのリアルタイムスキャンが動作するためです。
Macの場合:タイムマシン用記憶域とセキュリティソフトの干渉
MacOSでもOSの動作とカスペルスキーセキュリティの動作が干渉するとレスポンスの低下に繋がるケースがあります。
具体的には、MacOSのユニークな機能であるタイムマシンのデータ保存場所に対してスキャンが実行されると、スキャンが終了するまではMacのレスポンスが落ちる可能性があります。
Chromeでバナー広告ブロック、Webトラッキング防止を使うと重い?
WebやSNSなどの口コミでは、GoogleのブラウザChromeにカスペルスキーセキュリティのプラグインを導入して、「Webトラッキング防止機能」「バナー広告ブロック機能」を使うと動作が重くなる、との報告がいくつも見つかりました。
環境依存のファクターがありそうですが、こういう事象も起こりえるようです。
ただし、著者のパソコンでも同様のことを試してみたのですが、手元では重さの再現ができませんでした。
カスペルスキーが重い場合の4つの対処法
続いて、カスペルスキーが関連してデバイスの動作が重くなっているケースへの対応を、項目ごとにまとめてご紹介します。
スキャンの実行タイミングの調整
スケジュールスキャンを行なうタイミングは、よく考えて設定するようにしましょう。簡単に言えば、「普段パソコン、スマホを使う時間には実行しないような設定にする」ということですね。
また、ユーザーが手動で起動させるオンデマンドスキャンに関しても、「寝る前に起動して夜の間に処理を終わらせておく」というのがベストです。ただし、一部のオフィスなど夜間にブレーカーを落とすような環境ではこの設定は使えませんので、注意してください。
ちなみに、パソコンが使われない状態(=アイドル状態)になったときに自動実行されるバックグラウンドスキャンは、ユーザーがパソコンを操作すると自動で一旦停止するようになっています。そのため、こちらは正常に動いているパソコンならばユーザーの操作を邪魔することはありません。
Windows Updateを手動で実行させておく
Windows Updateとカスペルスキーセキュリティのスキャンの干渉については、「パソコンを使って本格的に作業を開始する前に先に手動でWindows Updateを実行させてしまう」というのが一つの対応策です。
「フォアグラウンドで何らかの作業を行なっている際に、裏でいつの間にかWindows Updateが動き出して表の作業に影響する」という状況は、環境によってはそれなりにストレスがかかることがあると思います。
であれば、先にWindows Updateを終了させておき、作業途中での干渉は避けるようにしましょう。
Macのタイムライン用領域はスキャン対象から外す
タイムラインのデータ保持用領域のスキャンによる性能低下に対しては、セキュリティソフト側の設定を変更して「その領域をスキャン対象から外す」というのが有効な対策です。
この設定で、OS動作との干渉を防ぐことができます。
Chromeのカスペルスキープラグインの設定を変更する
Chromeブラウザの動作が重いかな?と感じたら、カスペルスキーセキュリティのプラグイン(拡張機能)の設定を変更してみましょう。
信用できるサイトに関しては、Webトラッキング防止機能、バナー広告ブロック機能をOFFにする設定が有効です。
番外編:裏技的軽減策
この方法はカスペルスキーセキュリティやOSなどのソフト側におこる対処ではないため、裏技と言いますか抜け道的な対応策になります。
その方法とは、システムドライブ(WindowsならCドライブ)を「SSD化する」というものです。
※ノートパソコンでは厳しいケースが多いです。
SSDはHDDよりもレスポンスが2桁オーダーレベルで高速になっているため、セキュリティソフトのスキャンを動かしている最中にOSやアプリの機能を読み出す/データを読み書きする処理が走っても動作の遅延を最小限に抑えることができます。
また、スキャンの処理速度自体が大幅に向上するため、オンデマンドスキャン、スケジュールスキャンの影響を受ける時間も最小化されます。
ただ、影響を軽減できるものの完全に解消することはできません。やはりスキャンのタイミングを見計らうことは必須です。
「軽さ」を重視する方におすすめのセキュリティソフト
今のセキュリティソフトは改良が進み、どのソフトもある程度の軽さを実現するようになりました。
そんな中でも、特に「動作の軽さ」という観点からカスペルスキーセキュリティよりもおすすめできるのが、ESET HOME セキュリティ エッセンシャルです。
以前ほど他のセキュリティソフトとの差はなくなったものの、今でも動作の軽さはESETシリーズのDNAとして受け継がれています。
誤検出などの少ない動作の安定感やシンプルに使いやすくまとめられたUIなども、おすすめできる理由。
料金に関してもカスペルスキーよりリーズナブルですので、迷われている方はESETも検討してみてください。30日間の無料体験も可能です。
まとめ
ネット上の口コミを眺めていると、カスペルスキーが原因と思われるデバイスの重さにぶつかっているユーザーも一定数いることが分ります。問題を切り分けて重くなる原因を突き止めるために、この記事でまとめた内容を参考にしていただければ幸いです。
また、少しでも軽いセキュリティソフトを検討している方は、ESETを試してみてください。