物価高と円安の時代、富裕層や準富裕層の資産戦略として注目されているのが「タイムシェア別荘」だ。従来の別荘のように1人で所有するのではなく、複数人で利用権や持分を分け合うことで、リゾート不動産をより合理的に活用できる仕組みとして市場が拡大している。
本連載では、タイムシェア別荘が人気を集める背景から、投資・資産運用としての可能性、広がるマーケットの実態、そして軽井沢が別荘地として価値を保ち続ける理由までを多角的に解説。シェアリングエコノミーの広がりのなかで、リゾート不動産はどこへ向かうのか――「所有」の常識が変わる時代の新しい別荘のかたちを読み解く。
第1回のテーマは「タイムシェア別荘が注目される理由」。
別荘は「使われない時間」が長すぎる
別荘というと、豊かなライフスタイルの象徴のように語られることが多いものです。自然の中で過ごす休日、家族や友人との特別な非日常的な経験、確かに別荘には大きな魅力があります。しかし現実には、別荘の利用日数は年間で数週間程度というケースが少なくありません。
それにもかかわらず、固定資産税や草刈り・落葉清掃などの維持費、設備の修繕費なとのコストは一年中発生します。つまり、多くの別荘は「ほとんど使われていないのに手間のかかる面倒な資産」になりがちなのです。
この利用頻度とコストのアンバランスが、日本の別荘所有の大きなハードルでした。タイムシェア別荘は、この問題を合理的に解決する仕組みとして注目されています。
高級別荘価格の上昇が新しい選択を生んだ
近年、軽井沢をはじめとする人気リゾート地では土地の価格が大きく上昇しているのに加えて建築費も大幅に上がっており、立地の良い物件では数億円規模の価格帯も珍しくありません。
この価格上昇は資産価値の観点では魅力的である一方、個人が単独で所有するには大きな負担でもあります。
その中で、複数のオーナーで共有持分として保有するタイムシェア別荘は、比較的少額の投資で高級別荘を持てる現実的な選択肢として広がり始めています。
「所有したいが、合理的に持ちたい」、このニーズが市場を動かしています。
働き方とライフスタイルの変化
もう一つの大きな背景は、働き方の変化です。特にコロナ禍以降、リモートワークや多拠点生活が広がり、常に都会にいる必要がない人が増えてきました。
また、自然の中でゆったりとした環境で仕事をしたい、家族と一緒に長期滞在したい、企業研修や懇親旅行を静穏な環境で行い福利厚生に役立てたいなどのニーズも高まってきました。
こうしたニーズに対し、ホテルでも保養所でも個人別荘でもない「第三の選択肢」としてタイムシェア別荘が機能しています。
「所有から利用へ」という価値観の転換
現代の消費スタイルは大きく変化しています。カーシェアリングやサブスクリプションサービスに象徴されるように、すべてを個人で所有するのではなく、必要な価値だけを合理的に利用する考え方が広がっています。リゾートでの過ごし方も例外ではありません。
タイムシェア別荘は、資産として所有できる安心感と利用の合理性の両方を備えた新しい不動産の形です。この価値観の変化こそが、今タイムシェア別荘が支持され始めている最大の理由と言えるのではないでしょうか。
次回は、タイムシェア別荘の投資・資産運用としての有効性についてより詳しく解説いたします。

