言葉の選び方、伝え方によって、相手の行動を制限し、心理的にも負荷をかける「言葉の拘束」のことを「スピーチロック」と言います。この連載では、このスピーチロックを意識して周囲に気持ちよく動いてもらう手法をまとめた新刊『気持ちよく人が動く伝え方』(大野晴己 著/フォレスト出版 刊)から一部を抜粋して紹介します。
3回目は「部下の指導育成に悩む人に良い言葉、部下のやる気を阻害する言葉」
部下の指導育成に悩む人に良い言葉、部下のやる気を阻害する言葉
時代の変化に合わせ、今までとは考え方も変えていかなければと思っている上司の方は、パワハラやカスハラなどのハラスメントにあたるのではと口をつぐんでしまう人が多くいます。
多くの上司は、自分の業務と部下の指導育成に悩んでいるのが現実です。
そんな上司の方に良い言葉があります。それは、感謝や労いという人間関係の基本の言葉をすぐに口にすることです。
感謝や労いという人間関係の基本の言葉
「ありがとう」
「○○さんのおかげです」
「助かりました」
「ありがたい限りです」
こんな簡単な言葉ですが、あとで言おうと思って言えなかったり、当たり前だからと言わなかったりする上司もたまにいます。
問題なのは、部下のやる気を阻害したり、指導という名のもとに厳しく鍛えようとしたりする上司です。これは「スピーチロック」です。部下のやる気を阻害する上司の言葉を具体的に挙げておきます。
部下のやる気を阻害する上司の言葉
「なんでこんな簡単なこともできないんだ?」
「同じミスを何度も繰り返しているな」
「これだから使えない」
「誰に尻ぬぐいをしてもらっていると思っているんだ」
「できない奴は文句ばっかり言うな」
このように、否定的でマイナス・ネガティブなフィードバックや押し付けがましい批判ばかりを言う上司は、部下の努力を認めず、やる気を阻害します。