こんにちは。think-cell Japan代表の松塚です。
「年収1億円以上」と聞くと、どんな人を思い浮かべるでしょうか?
起業家、投資家、インフルエンサーなどは容易に思いつきます。でも実は、会社員として、いわゆる“サラリーマン”として、それだけの収入を得ている人たちが存在します。
彼らはなかなか表には出てこず、ただひたすらに結果を出し続けてその領域に到達した実力者たちです。私はこれまで、外資系企業の現場でそうした"グローバルスター"たちと共に働き、その思考や行動を間近で見てきました。
今回は、彼らから私が直接受け取った教えを、エピソードとともに紹介します。
常にプランDまで準備
Appier(エイピア)という外資系企業の日本法人の営業責任者を務めていた際、直属の上司でグローバル14拠点全体の責任者だった台湾人からの教えです。
商談を進めるうえで、プランA(基本提案)とそれが難しい場合のプランBまでは用意する方は多くいると思います。しかし彼は「プランDは何だ?」と常に問い、策がない場合は案が固まるまで共に考えてくれました。しかも毎週です。
入社直後は正直このミーティングはいつ終わるのだろうか...と思ったものです。彼はこのレベルの深堀りをすべての国に対して行っていました。想定通りにいかなくても最高の成果を出すために徹底的に考え抜く、そしてそれを相手にも求める人でした。
ちなみに彼は留学経験がないにも関わらずアメリカのラジオ番組に出演してベラベラ英語で討論できるほど英語が堪能です。どのように英語を習得したか聞いたところ「20歳の時から考えるときは英語で考えると決めている」とのこと。
「決めたことを徹底する」というのは他のグローバルスターにも共通する姿勢と言えます。
マネジメント力とは石油パイプラインみたいなもの
一見、何を言っているかわからないこの言葉はGoogle執行役員からの教えです。
石油を流すためのパイプは、流す量に応じてその太さが変わります。太ければ多くの鉄板をつなぎ合わせ、多数のビスで固定する必要があります。ビスが2つくらいなら簡単にパイプは作れるのですが、多数のビスとなると一つを締めれば他が緩んでしまうなど急に難しくなるそうです。
大量の石油をうまく流すためのパイプは、事前にどの量を流すのかを決めなければ、必要なパイプのサイズやいくつのビスが必要かを決めることができません。このビス止めこそがピープルマネジメント。
成果の責任者となるマネージャーにとって重要なのはどれだけの石油をどこに流したいのか決めていること。つまりビジネスに置きかえると、何をどのレベルで達成したいかというビジョンが最重要。そこが決まると、必要な人員ややり方が決まります。
この言葉は10年以上大事にしており、チームや組織を持つ以上、達成したいことを最初に設定していつでも言語化できるようにしています。
Google時代、さまざまな方のマネージャー論に触れる機会が多く「マネージャーの仕事はメンバーがやりたいことの前に立ちはだかる障害物を除くこと」「メンバーの思考を広げるために常に10倍にするにはどうすればよいかを問う」などさまざまな教えを頂きました。
マネージャーとして自分が達成したいことが明確である、そしてマネジメントの軸を言語化できる。この2つはグローバルスターになっていくマネージャーの必要条件です。
伸びる企業に身を置くのではなく、伸びる業界に身を置く
リタイアした上司の豪華な別荘に伺ったときにキャリアの話を聞く機会がありました。その方は給与やストックオプションなどで本当にサラリーマンだったのかと思うほどの資産を作っている方です。
彼曰く、「どんなに自分が努力をしても、業界全体が縮小していたら報われない。しかし伸びる業界にいれば並みの実力でも成果がついてきて給料が上がる。優秀ならなおさら秀でることができる」。
重要なポイントとしては
- 会社を決め打ちするのは目利きが難しいが、業界ならまだ目利きができる点
- 成長期に入っていてピークになっていないタイミングを狙うこと
株式投資に似たような話にも聞こえますが、仕事をするというのは自分の時間を投資する行為です。努力はベースとして必要、そのうえで「どこで」「どのタイミングで」戦うのかという観点で自分の時間を投下していくことが重要です。
グローバルスターに共通する姿勢
私は幸いにもこれまでのキャリアにおいて、トータル年収1億円越えになるような方と直接仕事をする機会がありました。そうではなく尻すぼみの方も同様にたくさん見てきました。
前者に共通する点は下記3点に集約できます。
- やることを決めたら、異常なレベルでやり抜く力
- 自分の組織で達成したいことやマネジメントの軸を言語化できる思考の明確さ
- 業界やタイミングを見極め、そこに飛び込む目利きと決断力
これらはいずれも、特別な才能ではなく「姿勢」と「習慣」です。
キャリアに迷っている方やキャリアをさらに高めていきたい方はまず「やり続けると決めていることは何か」「仕事において達成したいことは何か」「現在の会社は自分が戦うべき場所なのか」を自分自身に問うてみるのも良いかもしれません。
私自身はここで紹介したような方々にはまだまだ及ばず道の途中ではありますが、これからも姿勢は崩さずに過ごしていきたいと思います。
今回のコラムが、皆様のキャリア形成の次の一手を見つけるきっかけになれば幸いです。