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【答え】「ミニ・トラベラー」
答えはミニ・トラベラーです。
ミニは1959年に英国で生まれました。ブリティッシュ・モーター・コープレーション(BMC)という自動車メーカーが開発・製造したクルマです。BMCにはモーリスモーター社とオースチンモーター社という2つのブランドがあり、それぞれが「モーリス・ミニ・マイナー」「オースチン・セブン」の車名で売り出しました。
ミニを開発したのは、オスマン帝国(現在のトルコ)生まれのギリシャ系イギリス人であるアレグザンダー・アーノルド・コンスタンティン・イシゴニス(英国からナイトの称号を授与されてからはサー・アレック・イシゴニス)です。イシゴニスにとってミニは2台目の新車開発でした。
ミニ開発のきっかけは、第二次中東戦争(スエズ危機)によりガソリンが配給制になったことです。燃料の入手が難しくなったことから小型車を求める声が高まったのです。
イシゴニスはあらゆる面での効率のよさを考え、全長3m/全幅1.2m/全高1.2mの箱を想定し、これに大人4人が乗れて荷物も積めるクルマを考えました。それがミニとなります。
イシゴニスが考えた小さな箱の大きさは、スバル「360」やホンダ「N360」など、1960年代前後の軽自動車とほぼ同じ寸法です。
庶民のためのクルマとして開発されたミニでしたが、発売当初は、それまでの小型車よりさらに小さな寸法であることから、消費者は否定的な反応を示しました。「一段下と思われるクルマに乗って家を出ていくところを隣の人に見られるのは嫌だ」というわけです。
ところが、企業の高級管理職などアッパーミドルといわれる階層の人々は、「通勤で乗るのに便利だ」などと素直にミニの価値を認めました。さらには貴族や王室、あるいは著名な人々が、好奇心から喜んでミニに乗り出したのです。例えばエリザベス女王の長女であるアン王女、ビートルズのポール・マッカートニー、ファッションデザイナーのポール・スミスなどです。こうしてミニの人気は急上昇し、モデルチェンジすることなく2000年まで製造され続けることになります。
4人乗りの2ドアハッチバックとして誕生したミニですが、前輪駆動であることをいかし、荷室を後ろへ約7.6cm伸ばした商用のライトバンもラインアップに加わりました。英国では商用車に優遇税制があり、購入時に支払う税金が免除されたので、ミニのライトバンは、格安でありながら乗用車と同様の走りや機能を手に入れられるクルマとしてミニの人気を後押ししました。
このライトバンを基に、後席のための窓を設け、装飾として木の枠を取り付けたのが写真のトラベラーです。
木枠や木目の装飾は、米国でもステーションワゴンなどで使われ、日本でも「シビック・カントリー」や「サニー・カリフォルニア」などで用いられました。
かつて、駅馬車や幌馬車が活躍した時代、それらを「ワゴン」と呼びました。荷物を積んで旅に出る場面を思うとき、木でつくられた馬車の時代を懐かしむ気持ちになるのかもしれません。木の風合いが、旅や郊外での活動を印象づけるからでしょう。
それでは、次回をお楽しみに!