介護保険で要介護・要支援と認定された方に対して、手すり設置などの自宅改修で補助金を支給する制度があります。具体的には、手すりの設置、床の段差の解消など、介護を受ける方の自宅で必要な工事が対象です。二世帯住宅で親と同居している方、別居している親をサポートしたい方は、ぜひチェックしてみてください。
介護保険の住宅改修費支給とは
厚生労働省が実施している、介護保険における住宅改修費の支給とはどのような制度なのかを解説します。
安心して自宅に住み続けるための補助制度
身体機能が低下して介護が必要な状態になり、日常生活に支障をきたすようになった家族がいると、自宅を改修する必要が生じるケースが多く見られます。そのための工事費用の一部を、介護保険から補助してもらえる制度です。
家の中の段差をなくして車イスを通りやすくしたり、階段やトイレに手すりを設置したりして、介護が必要な家族が自宅に住み続けることを応援することが目的です。
制度の対象となる人
制度の対象となるのは、要支援1〜2、要介護1〜5のいずれかの認定を受けており、自宅で生活している方です。
要支援とは日常生活において、清掃など多少のサポートが必要とされる状態です。要介護は日常生活の全般において、介護を必要とする状態をいいます。
要介護度が比較的軽くても重くても、住宅改修費の支給制度を利用できます。ただし、介護施設に入居していたり、病院に入院していたりするなど、自宅ではない場所に一時的に住んでいる場合には適用されません。
支給金額・回数
住宅改修の支給金額は、上限20万円で、原則は1回限りです。ただし、20万円を超えない範囲なら複数回に分けて利用できます。
たとえば10万円のリフォームを行うと、介護保険の自己負担が1割なら支給額は9万円です。2割負担なら8万円、3割負担なら7万円まで支給されます。
支給対象になる工事内容
自宅改修費の支給対象になる工事として、手すりの設置や段差の解消などがあります。
手すりの設置
廊下や階段などに手すりを設置すると、室内移動の安全性が高まります。バスルームや玄関など、姿勢が不安定になりがちな場所に手すりを設置すると、身体を支える手段として役に立ちます。
手すり設置の費用目安は10万~20万円程度で、階段に設置する場合は形状によって費用が変動します。
段差の解消
家の中に段差があると、歩行が難しくなった場合や車いすで移動する場合に障害となります。床の段差を解消する工事も、介護保険の支給対象です。
バスルームの床のかさ上げも対象ですが、スロープやバスルーム内に置く「すのこ」は、福祉用具の貸与に該当するため、対象外となります。
便器の交換
和式トイレは足腰への負担が大きく、要支援・要介護の方が利用するには向いていません。洋式トイレへの交換工事も、改修工事費の支給対象になります。
便器交換にかかる費用には幅があり、和式から洋式への交換、洗浄便座/便器や暖房機能といった多機能なものにすると、工事費にもよりますが50万円を超えてくる場合もあるでしょう。費用が20万円までなら自己負担額は2万円ですが、たとえば30万円の場合は2万円に加えて、補助対象外の10万円の負担も必要です。
自宅改修費用を受給する流れ
介護保険で自宅改修費用を受給したい場合、以下の流れで手続きをします。
- ケアマネジャーなどに相談する
- 施工事業者と打ち合わせをする
- 市区町村に申請書や必要書類を提出する
- 市区町村が申請内容を確認
- 改修工事の施工
- 工事完了後に支給申請をする
- 支給額の決定・支給
まずはケアマネジャーなどに、自宅を改修したいこと、場所や工事内容などの希望を伝えて相談しましょう。ケアマネジャーが必要書類を準備・作成してくれます。
施工業者と打ち合わせをして、工事プランや見積書などを作成してもらったら、市区町村に書類を提出します。支給申請書、工事費の見積書など、漏れなく提出しましょう。
市区町村が申請書類に問題ないことを確認した後に、改修工事を施工します。ここでいったん事業者に費用を支払うことが必要です。
工事完了後に支給の申請を行います。費用にかかる領収書、工事費の内訳書、改修完成後の状態を確認できる写真などの提出が必要です。申請内容に許可が下りると、住宅改修費の支給額が決定、支給されます。